Ishibashi Mail Magazine Vol.24

BEGINNINGS / STEVE HOWE

 74年にイエスはアルバム「RELAYER」を発売する。前年にキーボードのリック・ウェイクマン
が脱退し、後任に迎えられたパトリック・モラッツが加入後のアルバムであった。この頃、
バンドは変換期で、あらゆる新しい事を試している時期でもあった。

 そして75年にこのアルバム、ハウの初のソロアルバム「BEGINNINGS」が発売される。75〜76
年までの間に、イエスのメンバーは挙ってソロアルバムを発表。ジョン・アンダーソン、クリス・スクワイヤー(メルマガVol.3参照)、パトリック・モラッツも例外ではなかった。
 ギターリストのソロアルバムであるが、ギター満載というないようでないところが面白い。
弦楽器はベースも含め、全てハウが担当し、キーボードはパトリック・モラッツ、ドラムは
ビル・ブラフォードとアラン・ホワイトが担当している。しかも他のメンバーのソロアルバム
でも同じような状況でイエスメンバーが何らかで参加している。

 ソロアルバムなのだから何時もと全く違ったメンバーで収録すればいいと思うのだが、そこは
この時代によくあった事で、バンド・アルバムに煮詰まった時に起こる現象でもあったに
違いない。また、このアルバムで非常に印象に残るのはハウのヴォーカルである。イエスの
メンバーのコーラス能力は他を寄せ付けないほどのレベルにある。がしかしこのアルバムでは
当然メインボーカルはハウ自身であるが、これがまた少しショボイ!(失礼)
 だだ、それを打ち消すくらいのギターテクニックが満載のアルバムである事は間違いない。
B面1曲目(CDでは5曲目)のタイトル曲「BEGINNINGS」はクラシカルテイストたっぷりの壮大な
曲に仕上がっており、B面3曲目(CDは7曲目)の「RAM」は"Mood For A Day"、"The Crap"に
続くほどの超難解アコースティック・ソロである。

 また、ハウはこの頃から使用ギターにも変革があった。ES-175Dしか印象に無いほどであったが
74年頃からステージでフェンダー・テレキャスターを使用し始めており、サウンドの幅は大きく
変わってる。ルックス的にはやはりハウの印象はギブソン系であることは間違いないと私は思う。

 そして76年にイエスは再び活動を再開。しかもリック・ウェイクマンが出戻っているではあり
ませんか。もはやいい加減にしろ状態ではありますが、これで呆れていてはプログレは聞けない
のです。どのバンドでも入れ替わりは当たり前なんですナ〜!
 先日、エイジアがオリジナルメンバーで再来日した時に、当然のことながら見に行きましたが
ハウは”ES-175D”を使用していない。エイジアでは元々、”ES-ARTIST”を使用していたが、
やはりフルアコを持っているハウが見たいのである。そのうち、今度はイエスでまた来日する
かもしれないので、その時を楽しみに待つとしよう。とにかくこの1枚を聞け!


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