Ishibashi Mail Magazine Vol.23

Chapter:17 AT THE ATLANTA POP FESTIVAL / JIMI HENDRIX

数多くあるヘンドリックスの映像の中でもあまり知られていないのがこの「AT THE ATLANTA POP FESTIVAL」
である。収録されたのは70年の7月であって、その1ヶ月後にあの有名な”ワイト島ライブ”があるからだ。
実際、ワイト島は生涯最後の演奏などと昔は言われていたが、その後にも小さなライブは死ぬまでに6〜7
公演行っている。

 そしてこの第2回アトランタ・ポップフェスティバルであるが、著名なアーティストが沢山出演している。
しかし、ウッドストックやワイト島ライブと比べあまり有名ではないのだ。ジミヘン以外にはデュアン・
オールマン率いるオールマン・ブラザーズ・バンド、マウンテン、ロビン・トロワー在籍のプロコル・ハルム、
ザ・バンドやジョニー・ミッチェル、ジェスロ・タル、BB・キング等も出演していた大フェスティバル
なのである。集客も40万人とかなりのものであるが、あまりにも有名なフェス2つに挟まれ、多少過小評価
されているのが悲しいところ。

 そしてこのフェスティバルの目玉はやはりジミヘンである。ウッド・ストックでは最終日の出演であったが
押しまくりジミヘンの出演は朝方の人が少なくなってからの演奏である事は有名な話。しかし、このライブは
一番いい時間帯で演奏していることもあり、ギター・テクニックも冴えているように聞こえる。相変わらず
MCは不機嫌そうであるが、”FOXY LADY"の時のオーバー・アクションなどは非常にカッコイイ!
そしてこの映像の中で使われているギターは、やはり60年後期のフェンダー・ストラトキャスターである。
ジャケ写には白のメイプルが使われているが、オープニングの数曲で黒のメイプルネックに替えるのだ。
これがまたカッコイイ!知ってのとおりジミーは左利きなので、右利きを逆さに持つわけですけど、後に
いろんなアーティストがこの持ち方をしても、あまり似合うヤツがいないほど定番である。

 クローズアップ映像が多く、足元がほとんど映ることが無いので確実とはいえないが、エフェクターは
ファズ・フェイスとVOXのWAH(V-846)のみになっているようだ。ウッドストックの際には足元にシンエイの
”ユニヴァイヴ”がセットアップされていたが、この時はシンプルに戻っている感じの音色である。
 言い忘れたがバックを勤める2名はおなじみのドラマー、ミッチ・ミッチェルにベースはバンド・オブ・
ジプシーから引き続き、ビリー・コックスが弾いている。

 また、なぜこの映像が余り人気の無い理由のもうひとつとして、ジミーのテンションにある。
この2ヶ月後に他界してしまうのだから、精神的にもあまりベストな状態でなかったにせよ、全般的に
非常にテンションの低さを感じてしまうのだ。その反面、スローな曲を演奏する際には、やはり神がかった
フレーズが随所に出ている。特に”RED HOUSE”は必見である。

 そしてジミーが死んで今年の9月で37年になる。この年に生まれた者でさえ、もうすぐ中年になって
しまうほど、年月が流れている。しかし、映像の中で見るジミーのプレイはロー・テンションの中でも
とてもアグレッシブで、現代でも全くもって通用するギターであることは間違いない。
余談であるが最近、モンタレー・ポップ・フェスのコンプリート版DVDが発売されました。ジミヘンは
もちろん、ジャニスの未発表映像やバーズなども収録されている優れモンです。高いけど買ったぜ!


AT THE ATLANTA POP FESTIVAL / JIMI HENDRIX

1.FIRE
2.SPANISH CASTLE MAGIC
3.ALL ALONG THE WATCHTOWER
4.FOXY LADY
5.PURPLE HAZE
6.HEY JOE
7.RED HOUSE
8.STONE FREE
9.STAR SPANGLED BANNER
10.STRAIGHT AHEAD
11.VOO DOO CHILE

Jimi Hendrix (Gt,Vo)
Billy Cox (Ba)
Mitch Mitchell (Dr)


LD盤ジャケット

モンタレー・ポップ・フェスのコンプリートDVD3枚組

ジミーのレアーフォト満載の米雑誌

有名なサイケ・Vが表紙の米雑誌とミッチ・ミッチェルが出版した写真集


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