Ishibashi Mail Magazine Vol.23

1956年製 Les Paul Jr.

1952年に発表されたレス・ポールモデルに続き、普及モデルとしてレス・ポール
ジュニアが登場した。
シンプルなデザインにP-90のシングルピックアップをブリッジ寄りに搭載し
そのピックアップの形状はピックアップカバーの両サイドに三角のボディ本体に
固定させるための耳が付いていることから“ドッグ・イヤー”の愛称で呼ばれ、
親しまれている。

 レスポールに搭載されているタイプのサイドに三角のない形状は“ソープ・バー”
と呼ばれ中身は“ドッグ・イヤー“と変わらないがP-90のピックアップは年代により
中の構造は違う。ボディの形状は最初シングルカッタウェイでフィニッシュはまず
ウッドフィーラーを全体に施し目止めをし、顔料系のイエローを吹き、外周はブラック
サンバーストで仕上げ、スポットライトがボディにあたったような高級感を醸し
出している。

 その後1958年にダブルカッウェイにモデルチェンジしフィニッシュはチェリー・
レッドフィニッシュを全体に吹き仕上げられている。しかし染料系の塗料は色が飛び
やすく半世紀たった今、鮮やかにチェリーを残すものは大変少なく価値がある。
この塗料の特性に気づき色がとびにくく、顔料系の塗料に変わるのは1960年になって
からである。1959年後半にはボディー外周の角のRがよりまるく加工されマイナー
チェンジされる。そして1961年にさらに大きくモデルチェンジされ、ボディがSG
シェイプになる。(SGの意味はソリッドギターです)

 モデル名が正式にSGとなるのは1963年でヘッドからレス・ポールの銘記が消える。
これはレス・ポール氏とギブソン社との間で名前を冠する契約更新がされなかった
ためである。今日では61年迄のレスポールジュニア、63年までは“SG/レスポール
ジュニア”呼び分けています。

今回ご紹介する1956年製レス・ポールジュニアは初期のシングルカッタウェイで黒い
ピックガード(チェリーになってからはベッコウ柄)にボディトップはブラックサン
バーストでバック、ネック裏はシースルー・ダーク・ブラウンフィニッシュ、
ブリッジはスタッドブリッジ(バーブリッジ)の仕様で最後のスタッドブリッジが
サウンド面に大きく影響しサスティーンのよいロックサウンド生み出します。

 テッド・マッカーティの発案でストップテイルピース兼用でラップアラウンド方式に
より弦をピックアップ側から通しテイルピースの上に弦を乗せる事によってガタツキ
やサドルが無い分駒の振動を気にせず、存分にマホガニーボディのマイルドで
かつ繊細な高域振動をひろってくれる。オクターブはブリッジのエンド両サイドに
イモネジが付いており六角レンチにより調整が可能である。
ペグはクルーソン製の1列に3個つまみが付いた3対3の2ウェイスタイルで
アコーステックギターなどにも使用されるポピュラーなペグです。
コントロールノブは1ボリューム、1トーンで54年初期はバレルノブ、56年からは
ゴールドトップハットノブ、58年からはブラックハットノブに変更します。

 このことから今回のレスポールジュニアは最も初期のモデルスタイルであることが
判ります。レスポール・ジュニアはキース・リチャード、ジョン・レノンのような
ロックミュージシャンに愛用され、究極のロックンロール・ギターとして今でも
全世界で愛され続けています。
ソリッドエレキギターの歴史と共にこれからも多くのギタリストに受け継がれて
行くでしょう。オ〜ロッケンローン。そしてOh〜アメリカン!


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石橋楽器 渋谷店
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shibuya@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し今年渋谷店勤務5年目
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。














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