Ishibashi Mail Magazine Vol.22

SPRING SESSION M / MISSING PERSONS


 テリー・ボジオを初めて知ったのは70年代後半に大先生”ジョン・ウェットン”が
率いるバンド「UK」での参加であった。来日公演で観た時には、やたらとロートタムを
セッテイングし、物凄い高度なテクニックだったのは覚えている。前任ドラマーのビル・
ブラッフォードの穴埋めは完璧であった。その「UK」も79年に空中分解、そしてその後
テリー・ボジオが作ったバンドがこの”ミッシング・パーソンズ”である。
当初は「USドラッグス」と名乗っていたらしい。

 バンドのメンバーはドラムはボジオ、ギターにウォーレン・ククロロ、ボーカルに
ボジオの奥さんでもあるデイル・ボジオでスタート。後にライブメンバーであった
ベースのパトリック・オーハンとキーボードのチャック・ワイルドが正式メンバーとなる。
 デビュー曲はアルバムはインディーズであったが当時のLA音楽シーンを激震させた程
話題となって、メジャーからの契約が殺到したと言われている。

 そして82年にこのアルバムがリリースされることとなる。何よりも話題となったのは
ボジオの奥方、デイルの存在であった。髪の毛は七色、衣装がとんでもなく派手で
シングル・レコードを体に3枚(どこに付けるかは想像の通り)付けただけという、武田
久美子ばりの衣装であったこと。また、ドラムは超変拍子なのはわかっていたが、ギター
のウォーレンもとんでもなく変態フレーズギターで、当時のアメリカのギター誌では
よく特集が組まれていた。

 楽曲はプログレ色は欠片も無く、徹底したエレクトリック・ポップで、MTVシーンを意識
した曲も含まれる。特に私が気に入っているのが”USドラッグ”と言う曲。流して聞くと
そんなに変化のある曲ではないが、各パートを聞いて見るととんでもない事を演奏して
いる。まず、ドラムは何処を叩いているのかわからなくなるような変拍子。とにかく私は
変拍子が大好きである。”バッド・ストリート”と言う曲もポリスっぽくてカッコイイ。

 しかし、このバンドもセカンドアルバムをリリースした頃からおかしくなり始め、各自
ソロアルバムや他人のアルバムに参加するようになる。そし80年も後半に差し掛かる頃
デイル・ボジオとテリー・ボジオが離婚、バンドもなんとなく活気を失い、87年に解散と
なった。デイルはどうなったかは知らないがウォーレン・ククロロは”デュラン・デュラン”
に加入し活動、ボジオに至ってはジェフ・ベックとの共演やソロでツアーを廻っている。
しかも最近では「KORN」のアルバムに参加し、ドラムを叩いている。ツアーも参加かと
騒がれたが、ツアーはスリップ・ノットのジョーイを臨時加入させてのツアーらしい。
ボジオが叩く「KORN」というのも観て見たかった気がする。それより「UK」を再結成
させるほが、面白いナ。とにかくこの1枚を聞け!


Copyright (C) 2007 Ishibashi Music Corporation. All Rights Reserved.