Ishibashi Mail Magazine Vol.17

Fender Stratocaster 1954-1955年製


1954年春にフェンダー社の第3番目の刺客として発表される。その形状は当時の
プレシジョンベースに源流を持ち、ホーンをのばすことで斬新なデザインとボディーの軽量化が計られた。テレキャスターでは、ブーミーなフロントサウンドとトレブリーなリアサウンドが特徴であることに対し、ストラトではその真ん中のサウンドをもうける為、3ピックアップの構造が設計された。
54年の3月には生産が開始され、現在でも開催されているNAMMショウ(米国最大の
楽器フェア)に出展するため急ピッチでラインを稼動し、同年9月には本格的に量産が開始される。

ファーストロットでは、プラスティックパーツに特徴を持つ。元々プラスティックが採用された理由として、金属パーツでのタッチノイズを嫌った事等が上げられる。ノブはショートスカートと呼ばれるつばの小さいやや透明感のある硬い材質が使用され、スイッチにはフットボール型のノブが装着される。また、ピックアップカバーの形状も現在とはやや異なる。ピックガードの形や、ピックアップの数に合っていないヴォリュームノブの数や、ジャックプレートのシェイプなどを見ても、視覚的に考えられたデザインであることが読みとれる。
54年の途中からは本格的な量産体制に突入を始め、これらプラスティックパーツも
白く透明感のないメラミン製の物に変更され56年半ばまでこの仕様は継続される(今回のストラトもこの仕様となる)。
シリアルナンバーは、本来はブリッジベースに打刻していたが、ストラトではブリッジに打刻スペースがないため、当初バックプレートに打刻されていた。しかし、レストレ(トレモロ無し)が登場することで、バックプレート無しの仕様が出てくるためシリアルナンバーは、ネックプレート打刻へと変更される事となる。

ストラトのピックアップはスタッガードと呼ばれるマグネットタイプで、弦によってマグネットの高さが調整され、ワイヤーは巻き始まりのターミナルから巻き終わりのターミナルまで切れることなく巻かれている。マグネットワイヤーにはテレキャスターで使用されるエナメルとは異なるフォームバーが使用される。ワイヤーはレオフェンダーが社内でデザイン&製作をしたオリジナルのワインディング機が使用されていた。これはペダルコントロールが可能なミシン用のモーターが使用され、ボビンは横倒しの状態でボビンの両端にかかるテンションの負荷を避けるためにベルトドライブ方式(輪ゴムと言われている)で慎重に手で巻かれていたようだ。現在のようなテンションを調節しながら巻く機械などは存在していないため、親指と人差し指の間にワイヤーを挟みながらテンションを調節し、コイル線は重なり合うことでムラができないように細心の注意が払われ製作された。やや不均一に見える巻きこそが、入魂の手巻きピックアップの味わいであることが感じられる。
慎重に巻かれたピックアップは、ストラトキャスターのサウンド形成の特徴であるピック
ガードへとマウントされる。吊し式でマウントされたピックアップは木ネジでボディーに直接装着されたものとは異なり、アッセンブリープレートを兼ねたピックガードに組み込まれ分担作業の効率化も計られていた。

今回ご紹介するストラトは、ネックデイトはタデオゴメスの55年2月、ボディーデイトは54年の11月と記され、年末から年始にかけての製作であることから1954-1955年製と呼んでいる。
数十年前では高くても150万円程度だった価格は、現在1,000万円を超える高値で取引されている54年製もあり、個体数の激減と共に月単位で価格を更新している。
音楽を楽しむためのツールを創造したレオフェンダーは、もし生きていたら何を感じ、何を語るのだろうか。

まさにレジェンダリ〜!


Fender Stratocaster 1954-1955年製
販売価格¥ASK


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<プロフェッサー岸本:プロフィール>
平成8年入社。現渋谷店のサブマネージャー。
ヴェンテージギターに関しての知識はイシバシでNo.1!
プロミュージシャンもお得意様にとても多く、彼のマインドに惚れ込み
多数お店に通っていただいている。
また、英語力もまずまずの為、直接ギター工場のマスター・ビルダーと
話し合いする事も。彼自身のフェイバリット・ミュージックは
カントリーロック、ブルーグラス等。
「親切丁寧な接客」をモットーに、ヴィンテージギター、高額ギターの
ご相談等、いつでも渋谷店にてお待ちしております。















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