Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [HYDRA / TOTO]



 今回紹介するアルバムは1979年に発売されたLAのスーパー・ミュージシャン軍団、TOTOのセカンドアルバム、「HYDRA(邦題:ハイドラ)」です。

 TOTOは言わずと知れたスタジオ・ミュージシャンの集合体で、デビュー前よりそれぞれメンバーの経歴はかなり有名であったのです。バンドの起源となった話で外せないのは“ボズ・スキャッグス”です。彼の名盤「SILK DEGREES」のレコーディングの際に召集されたメンバーこそが、TOTOの原型になるのです。

 ドラムにジェフ・ポーカロ、キーボードにデビッド・ペイチ、ベースにデビッド・ハンゲイトに2名のギターリストを加えて、「SILK DEGREES」はレコーディングされ、ほぼこの面子にてツアーも敢行されたのです。そこで3人が新たなバンドを作り出そうと一気統合し、TOTO結成への道となったのです。ギターリストには後輩であるスティーブ・ルカサーを誘い、もう一名のキーボードにはポーカロの弟であるスティーブ・ポーカロを加入させたのです。そしてさらに同じころLAで活躍していたヴォーカル、ボビー・キンボールを誘い、遂にTOTOの誕生となりました。

 1978年、アルバム「TOTO(邦題:宇宙の騎士)」でデビュー。アルバムはこの年のグラミー新人賞にノミネートされるほどヒットしたのです。日本でもその類まれなテクニックでファンを増やし、TOTOの奏でる音色を“トト・サウンド”と呼ばれるほどメジャーになったのです!

 その勢いに乗ったTOTOのセカンドアルバムとあって、発売前から話題騒然であったのを今でも鮮明に記憶しています。1曲目の“Hydra”はイントロ部分で怪しげな効果音から始まり、徐々にイントロ部へとつながっていくアレンジや、3曲目の“99”では切ないバラードを繰り広げる、まさに日本人が好きなパターンなのです。また、静かな曲ばかりでなく、7曲目にはハードな“White Sister”を放り込んでくるところなどは抜け目ないのです。当然、“White Sister”は後に、ライブ後半で最も盛り上がる曲に成長していきました。

 またこの時代、楽器シーンにも驚きのブームがありました。ドラムのジェフ・ポーカロの影響で、それまで4点セット(12TT,13TT,16FT,22BD)がメインであったドラムセットも、10inchのタムを1つ加え、5点セットにするドラマーが急増したのです。日本に10inchのタムを普及させたのはジェフ・ポーカロといっても過言ではないかもしれませんね!

 私が初めてTOTOのライブを見たのは1982年の2度目の来日で、この年に発売されたアルバム「TOTO IV(邦題:聖なる剣)」のツアーでした。演奏曲目はヒット曲満載、演出でアルバムジャケットのオブジェがステージ上部からくるくる回って降りてきたときは、少し笑ってしまったのをよく覚えております。また、ライブの模様は“NHK ヤングミュージックショー”でも放映されましたね。

 それから時は流れ、ジェフ・ポーカロは他界してしまい、ベースのデビッド・ハンゲイトの後任として加入した、弟のマイク・ポーカロも昨年他界してしまいました。しかしその苦難にもめげず、TOTOは現在でも活躍中! しかも3月に来日公演がスタートします。

 スティーブ・ルカサーの超絶ギター&甘いボーカルは今も健在。見に行きたいな〜! とにかくこの1枚を聞け!!

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