Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [ STRANDED / ROXY MUSIC ]



 今回ご紹介するアルバムはイギリスのロックバンド、ROXY MUSICが1973年に発売した3rdアルバム「STRANDED」です。日本ではあまり馴染みのないROXY MUSICですが、母国イギリスでは非常に知名度の高いバンドなのです。

 ROXY MUSICの中心人物は何と言ってもヴォーカルのブライアン・フェリーです。一言でいうと英国紳士という感じで、デヴィッド・ボウイと並び今で言うイケメンなのであります。しかしながらバンドそのものは残念ながら日本での知名度は非常に低いのが現状なのです。

 なぜ受け入れられないのかはよく解りませんが、原因の一つともいえるのはその音楽性であると私は思うのです。デビュー当時は派手目な衣装等が注目され、グラムロックなどとも言われましたがサウンドは少し違うし、しかもバンドメンバーの経歴をみるとプログレッシブロック色が強かったりとなかなか迷わせてくれるのです。しっかりとジャンル分けするのが好きな日本人には少々区別できなかったのかとも思います。

 そしてもう一人初期に加入していたメンバー、ブライアン・イーノも物凄い人物なのです。当時、“シンセサイザー”というものが世に出始めていろいろな使われ方があったが、イーノの使い方は環境音楽のような静を売りにし、前衛的に使用していたのが他のミュージシャンと違うところだと思います。そのさまざまなマインドを盛り込んだバンドがこのROXY MUSICの魅力なのです。

 しかしそのブライアン・イーノは2ndアルバム「FOR YOUR PLEASURE」を収録後になんと脱退。イーノの後釜に加入したのがイギリスのプログレバンド、カーブド・エアで活躍していた若手キーボーディスト、エディー・ジョブソンなのです。そしてエディーの加入後に初めて録音されたアルバムがこの「STRANDED」というわけなのです。

 サウンドは前作よりロック感を増し、一段とフェリーの声が弾んでいるように聞こえます。1曲目の“Street Life”は軽快なロックンロール、3曲目の“Amazona”などは日本人には書けないような曲で、一度聴いたら忘れられない曲でもあります。また不思議なことにロキシーには定着したべーシストがおらずプログレ界の渡り鳥、ジョン・ウェットン師匠なども参加いているのです。

 1977年にブライアン・フェリーはROXY MUSIC結成中にも関わらず、単独バンドで来日しています。会場はどこだか定かではありませんが、サポート・ミュージシャンにつられて見に行ったことを覚えております。そのメンバーとはベースにジョン・ウェットン師匠、ギターはロキシーのフィル・マンザネラにクリス、スペディング。そしてサックスにはキング・クリムゾンのメル・コリンズまで連れてきたのであります。しかし、そのライブがあまり良い出来ではなかったのか、印象に残らなかったのか、1979年のROXY MUSICの初来日公演は見に行っておりません。(悲)

 また、あの最強プログレバンド、”U.K”が生まれたのもこのバンドでジョン・ウェットン師匠とエディー・ジョブソンが繋がったことで生まれたのだと勝手に思っている次第でございます。ROXY MUSICはその後1982年に大ヒットアルバム「AVALON」を発売し、翌年2度目来日を果たします。80年代前半から始まったMTVムーブメントも重なり、武道館公演は超満員だったのを非常に懐かしく覚えています。

 しかし、その翌年ROXY MUSICはあっけなく解散。バンドって解らないモノですね。その後幾度か再結成でライブをやっていたみたいですが、数年前ブライアン・フェリーがアパレル・ブランド、“H&M”のCMに出ているのを見ました。実にカッコよく歳をとっていたな〜! あのようになりたいものです(笑) とにかくこの1枚を聞け!!
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