Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [ TAKIN'IT TO THE STREET / THE DOOBIE BROTHERS ]



 今回紹介するアルバムは、1976年に発売されたドゥービー・ブラザーズの「TAKIN'IT TO THE STREET」です。邦題は”ドゥービー・ストリート”と全く関係ない意味になっております(笑)

 ドゥービーの結成は1970年。ギター&ヴォーカルののトム・ジョンストンを中心に結成されたバンドである。サウンドの中心であったのはギターで、トム・ジョンストン時代のドゥービーでは”Long Train Runnin'”や”China Grove”といったロックの代表的なリフが生まれているのは皆さんご存知であろう。

 ウエスト・コースト・ロックが盛んになってきた1970年中期にはドゥービーもイーグルス、リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウン等と並んで代表的なバンドになってきた。泥臭いギターを中心展開してきたバンド・サウンドであるが、全米ではTOPを獲れる人気にはなって居なかったのも事実である。
 
 1975年にバンドは大きな転機を迎える。長年ドラッグを常用していたのがたたり、トム・ジョンストンはツアーにも出られないほどの体調不良に陥ることになる。その核を失いかけたバンドに新たな風を入れたのが、元スティーリー・ダンのツアー・メンバーでもあったマイケル・マクドナルドである。マイケルが加入したことでバンドのサウンドを大きく変わり、ギター中心であったサウンドはオシャレなAORサウンドに変貌していくのである。この変貌に耐えられなく離脱していったファンもきっと多かったに違いない。

 その賛否両論の中で生まれた作品がこの「TAKIN'IT TO THE STREET」である。プロデューサーには当初からドゥービーを手掛けていたテッド・テンプルマン。ヴァン・ヘイレンなどもプロデュースする正に凄腕です。前作の「STAMPEDE」を聞いた後にこれを聞くと、同じバンドとは思えないくらいの変貌なのである。中心人物がトム・ジョンストンからマイケル・マクドナルドに変わった瞬間がこのアルバムで聞ける。特にタイトル曲の”Takin' It to the Streets”や”It'Keep You Runnin”などはドゥービーと言うか、スティーリー・ダンともいえるようなサウンドなのである。

 しかしそこはドゥービーでやはり軽快に決めるところはキメル。そんなところがこのアルバムの最高にいい聞き所ののように感じるのです。しかしこの頃からバンド内でトム・ジョンストンとマイケル・マクドナルドの確執は大きくなる一方であったようだ。それに関連するかは解らんがこのバンドのメンバー入れ替わり具合は、ロックバンドNo.1と言えるのではないだろうか。デビューの時4人でスタートしたバンドは、この時期にはツインドラムで7人組に! 最高では12人組くらいまで膨れ上がっています(笑)

 また最も敬愛するE.YAZAWAもこのドゥービーのメンバーと共に何枚かのアルバムを出している。パーカッションのボビー・ラカインド、ギターのジョン・マクフィー、ドラムのキース・ヌードセンなどで、アルバムどころかこのメンバーを従えてライブ・ツアーまで行っているのです。さすが世界のYAZAWAです!しかも81年のドゥービーのハワイ公演にはYAZAWAがゲスト参加している。ホント、カッコいいですよね。

 バンドは82年に解散したが、1989年に健康になったトム・ジョンストンを中心に再結成され現在も活躍中である。今、バンドのメンバーが何人になったかは定かでないが、いつまでのロックし続けて欲しいものです。とにかくこの1枚を聞け!
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