Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


目次に戻る

この一枚を聞け! [BLOW YOUR FACE OUT / THE J.GEILS BAND]



 今回紹介するアルバムはホワイトブルースバンドの代表格、THE J.GEILS BANDの76年に発売されたライブアルバム「BLOW YOUR FACE OUT」である。通算8枚目のアルバムだが、実は3枚目もライブアルバムなのである。しかし、圧倒的にこちらの「BLOW YOUR FACE OUT」の方が、ドライブ感があるのです。でも相変わらず邦題はナメてます。「狼から一撃!」ですから・・・

 THE J.GEILS BANDはその名のごとくギターのジェローム・ガイルズ(J.GEILS)が69年に結成したバンドで、70年代は主にブルース&ロックで活躍をしていた。トレードマークはフライングVであるが、演奏していたのは多分、マイケル・シェンカーより先だと思います。ただ、バンドのフロントマンはジェロームではなく、ヴォーカルのピーター・ウルフなのである。風貌はまさに”This is USA”といった感じの解りやすいヒゲ面ヴォーカリストである。そのまま映画「イージーライダー」に出演できるような感じの人なんです。

 収録地はTHE J.GEILS BANDのホームタウンでもあるボストンである為、ところどころに”帰ってきたぜ〜!”みたいなフレーズが入っています。やはりそのテンションが大切ですよね! それとこの時代よくあったのが、スタート前にシッカリと”レディース・アンド・ジェントルマン〜”的なアオリMCがあって、コンサートが始まるんです。キッスもEL&PもこのMCでライブが始まるというのがあるけど、あれって大切だと思いませんか?最近ではメタリカの”Ecstasy Of Gold”なんかも最高ですよね。

 バンドは音楽性からも地域密着型というような感じで、このアルバムの中にもその泥臭さがとてもよく出ている。確かに日本ではあまり受け入れられる音楽性ではなかったのかもしれないが、なんと1980年に初来日を果たしている。来た事さえも知らなかったがファンの間では結構、伝説的なコンサートだったらしい。見たかったッス。

 そのTHE J.GEILS BANDにも遂に変貌時期がやってくる。1981年に発売されたアルバム「FREEZE FRAME」が全米NO.1となり、シングルカットされた”Centerfold ”は毎晩のようにMTVで流れたいたのだ。しかし、以前のJ.GEILSを好きだったファンにとってはあまりにも音楽性がかけ離れており、賛否がわかれたアルバムでもある。不幸はコレだけではなかった。商業的にバンドのスタイルまで変えてしまうとマスコミには叩かれ、挙句の果てには83年にはフロントマンのピーター・ウルフも脱退してしまう。そうすると後は転がる石のごとく、85年にバンドは解散し、売れるとなかなか上手くいかないという見本を見せてしまった。

 今思うとこのライブアルバムの頃が一番脂がのっていた時期かもしれない。アメリカの真のロックンロールがそこにあるんです。派手なギミックは無いかもしれないが、やはりこのスタイルいいですよね。それにしてもブレイク前の日本公演は見れなくて悔しいですッ! とにかくこの1枚を聞け!

バックナンバー
バックナンバー