Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [GRAHAM BONNET / LINE UP]



 今回のアルバムは元レインボー、MSGのシンガー、グラハム・ボネットのソロアルバム第3弾である、「LINE UP(邦題:孤独のナイトゲームス)」をご紹介しよう。まず、邦題にビックリである。確かにアルバムメイン曲が”Night Games”ではあるが・・・さすが80年代のセンスである。

 ジャケットを見て一言。これって”横山のやっさん?”と思える風体であるが、このルックスからは考えられない素晴らしい声を持っている。グラハムは1977年にソロシンガーとしてデビュー、アルバムはPOP色が強くイマイチの売れ行きであった。しかし、転機が訪れるのは翌78年の事である。

 78年までレインボーに在籍していたヴォーカリスト、ロニー・ジェイムス・デュオが脱退。オーディションの末、グラハムに決定。まさに一攫千金である。79年に私が思う黄金期であるレインボーのアルバム「Down To Earth」を発売する事になる。バンドも”MONSTERS OF ROCK”に参加するなど良い方向に向かいつつあった。しかし80年末、そこは首切り魔リッチー・ブラックモアで、あえなく当時在籍していたメンバーのうちドラムのコージー・パウエルとグラハムが脱退となった。

 このアルバムはその脱退したあとすぐに製作したアルバムで、参加メンバーもドラムにコージー、ギターにはホワイトスネイクのミッキー・ムーディー、キーボードには御大ジョン・ロードを迎えての録音となった。まず、前記にもあったようにメイン曲は”Night Games”で、ご存知の方もいると思うが、日本でも西城秀樹がカバーしているので有名になった。ただ、サビの部分であるがグラハムは♪Night Games〜 They Pay For Their Night Games〜♪と歌っているが、秀樹は♪ナ〜イゲームス お前とナ〜イゲームス♪ と歌っている。個人的にも秀樹は好きであるがこの歌詞は如何なもんでしょ〜?(笑)

 余談はさておきアルバム全体のスタイルはいたってポップス色が濃いハードロックに仕上がっている。特に60年代にロネッツがヒットさせた”Be My Baby”やキンクスの”Set Me Free”を収録するところなどは、やはり今までのハードロックシンガーには無かった事である。最近ではハードロックの人でも普通にポップスを歌う時代であるが、この時代には非常に珍しくもあった。中にはよく思っていないファンもいたことであろう。

 この約20年後、ふとした機会でグラハムに会うことができた!!現在、25周年を迎えた日本のメタルバンド”ANTHEM”が再始動を始めたきっかけとなったアルバム「HEAVY METAL ANTHEM」のヴォーカルがナント、グラハムだったのである。アルバム発売に合わせたライブツアーでの事であったが、リーダーの柴田氏のはからいで東京公演の楽屋にお邪魔させてもらった。楽屋にはグラハム、柴田氏、私の3人で非常に緊張したのを覚えている。そのライブも当然のことではあるが物凄い声量であったのは言うまでもない。

 そのグラハムも現在63歳のはず。今でもあの声は健在なのであろうか?そして、3月末には83年のアルカトルスのライブ音源が発売される。聞かせていただいたがこのアルバムの中のグラハムは極めている。そしてこの「LINE UP」と聞き比べてみるのも面白いであろう。同じ声でありながら幅広いスタイルの差にビックリすること間違いない。とにかくこの1枚を聞け!!

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