Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


目次に戻る

この一枚を聞け! [MIDDLE MAN / BOZ SCAGGS]



 ボズ・スキャッグスと聞いて懐かしいな〜と思う人はおそらく40歳を過ぎている人であろう。80年代に一世を風靡した音楽スタイル”AOR”。(Adult Oriented Rockの略)そのAORの中心的人物といえばこのボズ・スキャッグスである。AORはこの時代、”シティー・ミュージック”などとも言われていた。今思えば実に恥ずかしいネーミングである。

 ボズのデビューは60年前期と早く、デビューアルバムは泣かず飛ばずで全く売れなかった。その後60年中期にスティーブ・ミラー・バンドの一員としてアルバムを数枚出したがやはりソロ活動に未練があり、いかにもファースト・ソロアルバムのようなタイトル「Boz Scaggs」を69年に発売する。このアルバムの最大の特徴としてはオールマン・ブラザーズ・バンドの中心人物、デュアン・オールマンの参加である。全体的にゆるいR&Bで形成されたアルバムは80年代に入ってからのボズとは全く異なるものであった。

 そしてボズを一躍スターダムにのしあげたアルバムが76年に発売したアルバム「Silk Degrees」である。CM等でも良く流れる名曲”We Are All Alone”もこのアルバムに収録されている。音楽的にもR&B路線からPOP色が濃く俗に言う”オシャレなサウンド”に変化していく。翌年に発売されるアルバム「Down Two Then Left」ではその地位を確実なものとていった。そしてバックミュージシャンにも大きな変化が表れ始め、LAのトップ・スタジオ・、ミージシャンを起用し始める。それが後にTOTOになる面々である。そしてこの頃から新しい音楽ジャンルの流れ(AOR)が出始め、ボービー・コールドウェルやレイ・ケネディーといった男性ソロのオシャレなアーティストが出まくってきました。

 そして遂に80年にこのアルバム「Middle Man」が発売される。当然、バック・ミュージシャンは前作と同じLAのミュージシャンを起用する。その面々はギターにスティーブ・ルカサー、キーボードにデビッド・フォスター、ベースにデビッド・ハンゲイト、ドラムにジェフ・ポーカロ、そして後に映画「ゴーストバスターズ」の主題歌でもブレイクするレイ・パーカー・Jrもギターで参加しているのだ。まさにTOTOなんです。そしてゲスト・ミュージシャンも物凄いことになってます。ドラムにリック・マロッタ、キーボードにデビッド・ペイチと凄腕に加え、なんと大御所ギターリスト、サンタナまでが参加しているのです。4曲目に収録されている”You Can Have Me Anytime”でのその素晴らしいサンタナのソロが披露されているが実にギターが泣いている。そう、泣いているとはこのソロのような事を言うのであろう!

 当然、名曲も数多くこのアルバムから生まれており、後のボズのステージではなくてはならない曲が多く収録されているのです。そしてこの年ボズは2度目の来日公演を行います。当然、各地で満員御礼で東京公演に関しては武道館3日間と素晴らしい興行成績を収めている。

 TOTOというバンドが存在したのもボズがいたからこそであり、このアルバムがあったからこそだと思うくらいである。昨年、そのTOTOとのカップリング・ツアーが日本であった。TOTOとしての活動は最後であったそうだが、ボズとまわったツアーはさぞ考え深いものになったに違いない。とにかくこの1枚を聞け!

バックナンバー
バックナンバー