Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [・・・ NOTHING LIKE THE SUN / STING]



 ポリスを84年に活動休止にしソロ活動に専念し始めたスティング。衝撃的なソロアルバム第1弾「The Dream Of The Blue Turtles 」は今までスティングがプレイし続けたスタイルと全く違うものになった。そのアルバムから更に2年後の1987年に発売されたのがこの「・・・ NOTHING LIKE THE SUN」である。

 ジャズ調の曲が増え、前作より更に静かになったように感じるこのアルバムは、「The Dream Of The Blue Turtles 」をはるかに超えた200万枚以上売れた作品となった。CDがあまり売れなくなった今の時代にはなかなかない数字といえよう。また今回のアルバムに収録されている曲の中で数曲であるが政治色の濃い曲もある。いままでのスティングのアルバムにはあまり無かった動きでもある。

 また、収録されている「We'll Be Together 」という曲は日本のビールのCM曲にもなり、お茶の間でスティングの声を耳にすることが出来た。今では海外アーティストの曲がCMで流れるのはごく普通であるが、この時代はまだそれほど多くなかったので、非常にオシャレなCMに感じたほどである。そして何よりも参加しているアーティストの凄さに驚きである。まずは御大エリック・クラプトン。クラプトンは前記の「We'll Be Together」という曲の中で弾いている。そして、ダイア・ストレイツのマーク・ノップラーは「They Dance Alone」という曲に、旧友アンディー・サマーズはオープニング曲「The Lazarus Heart 」を含む2曲に参加している。また、先日他界してしまったハイラム・ブロックはジミヘンの名曲「Little Wing 」を演奏し、強烈に泣きのギターを披露している。これだけでもナント豪華なんでしょ〜。リズムセクションには前作で大活躍のオマー・ハキムに変わってマヌー・カチェが鋭いリズムを叩き出している。マヌーは後にピーター・ガブリエルのアルバム等でも常連となる。そして最後の大御所、マイルス・デイビスの知恵袋とも言われたギル・エバンスが「Little Wing 」でオーケストラ指揮をとっている。それだけで「Little Wing 」は壮大なスケールで仕上がっているのがわかる。

 このアルバム発売の翌年、88年にスティングの来日公演が決定する。タイトルも”・・・ NOTHING LIKE THE SUN TOUR”! そしてその東京公演の場所が完成したばかりの東京ドームであった。88年から90年にかけてはドームでの外タレ公演が頻繁であった。確かな記憶ではないがこの年初めてドームでコンサートを行った外タレはミック・ジャガーだったと思う。そしてクラプトンやU2などもこのころライブを行っていた。余談だがこの年に私の崇拝するロッカー、E.YAZAWAもドーム公演を初めて行っている(スイマセン余談で)

 そしてその20年後に今度は”ポリス”で同じ東京ドームでライブを行うなんて誰が思ったでしょうか。年はとっていたけれどあの高い声は健在だったし、スチュワート・コープランドのあの強力スナップも健在、アンディー・サマーズのあのクリーンサウンドもそのままであった。そんなスティングは年明けに今度は全く異なった音楽スタイルで来日し、幅広い感性を見せ付けてくれました。今度は88年ころのスタイルで再来日してくれたら是非見に行きたいな〜。とにかくこの1枚を聞け!

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