Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [JEFF BECK GROUP / JEFF BECK GROUP]



 ヤードバーズを脱退後、ジェフ・ベックが”JEFF BECK GROUP”を結成するのが68年のこと。ヴォーカルにはロッド・ステュワート、ピアノにはニッキー・ホプキンス、ドラムには後にジャーニーやホワイトスネイクに参加することになるエインズレイ・ダンバー、そしてベースには当時はベーシストであったストーンズのロン・ウッドが担当した。バンドの傾向はハードロック路線で何回かのメンバーチェンジをしながら2枚のアルバムを発売している。

 しかし、ロッドとロンの脱退で第1期と呼ばれる”JEFF BECK GROUP”はあえなく活動を停止。その後、70年に入ると新たなメンバーとしてキーボードにマックス・ミドルトン、ベースにクライヴ・チャーマン、ヴォーカルにボブ・テンチ、そしてドラマーにコージー・パウエルを加入させ、このアルバムの第2期”JEFF BECK GROUP”の旗揚げとなった。第1期から比べるとよりブルースやブラックミュージック色が濃くなり泥臭い音楽を奏でるようになる。71年に第2期JEFF BECK GROUPのデビュー作、「ROUGH AND READY 」を発売する。

 このアルバムも確かに凄いアルバムであるが、やはり取り上げたいのは翌年の72年に発売されたこのアルバム「JEFF BECK GROUP」である。ジャケットを見ると解るのだが、アルバム上部にオレンジが写っていることから”オレンジアルバム”などとも言われていた。そして前作もメンバーの写真が並べてあるものだが、このアルバムも懲りずにメンバーの写真を並べているのだ。しかも真ん中のジェフ・ベックと右端のコージー・パウエルがあまりにも似ていることから、私の通っていた中学では二人は兄弟などといううわさも流れた。(実に平和)

 そして前作と変わったことといえばプロデューサーにブッカーT&MG'sのギタリスト、スティーヴ・クロッパーを採用していることだ。このことからバンドの方向性にブラックミュージック色が加わってきたとも言える。レコードのA面に針を落とすと、コージー.パウエルのなんともいえないホンキートンクなドラムからスタートする”Ice Cream Cakes ”、そしてアルバムの中に2曲収録されているインストナンバーも素晴らしい。ラストに収録されている”Definitely Maybe ”はあまりにも有名であるが、私はどちらかというとA面ラストに収録されている”I Can't Give Back the Love I Feel for You ”のほうが好きである。当時、ボトルバーなど持って居なかった私は油性マジックの金属の柄の部分を弦にあて、よくレコードにあわせてこの曲を弾いたものです。

 しかし、中心人物はジェフ・ベックとあってバンドは長続きしません。当時、カクタスというバンドで活躍していたベーシスト、ティム・ボガードとドラマーのカーマイン・アピスとコンタクトをとり、マックス・ミドルトン以外のメンバーを解雇。ボーカルを新しい人にして新たなバンドを作ろうと画策。最後はマックスとこのヴォーカルの首を切り、出来たバンドが最強ロックトリオ”ベック・ボガード&アピス”である。長続きしないのはやはりジェフが繊細な証拠とも言える。しかしその繊細さが後に更に彼をスーパー・ギターリストへと押し上げていくのだ。このアルバム「JEFF BECK GROUP」はそんなジェフのターニング・ポイント・アルバムではないだろうかとわたしは思うのです。

 ジェフの来日も迫っているのですが、キーボードのマックス・ミドルトンもナント来日が決まっている。しかも元ストーンズのギターリスト、ミック・テイラーのサポートメンバーとしての来日のようだ。こちらも見逃せないぞ。とにかくこの1枚を聞け!

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