この一枚を聞け![THE STAR IN HIBIYA / E.YAZAWA]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介して来ましたが、最終回は私が一生応援し続けると決めた日本一のロックンローラー、矢沢永吉が1976年にリリースしたファーストソロライブアルバム「THE STAR IN HIBIYA」です!

 いや〜遂に来てしまった最終回! 思いおこせば2006年の創刊時、どんな記事を書いたら購読者の方は喜んでもらえるか模索したのですが、自分が好きな事でないと魂込められないと思い始まったこのコーナー。必ず最後に書くとE.YAZAWAを決めていたのはもう1年以上前のことでした。

 このアルバムが発売された1976年私は中学生で、洋楽ロックならDEEP PURLEやLED ZEPPELINが人気があり、邦楽ロックではCAROL、外道、マキOZ、クリエーションといったバンドが人気の中心でありました。特に1975年4月に解散したCAROLは衝撃的事件で、「燃えつきる〜ラスト・ライヴ/キャロル」のLP盤は校内の誰もが持っているマストアイテムでありました。

 解散後のメンバーの動向が注目にされているなか、一番最初に動きを見せたのは我らが“エーちゃん”ことE.YAZAWAであったのです。解散した翌月の5月に渡米し、ファーストアルバム「I LOVE YOU.OK」をレコーディングし、その年の9月に発売! あり得ないスピードですよね(驚)そしてツアーを早々に始めるわけですが、ここである不満が一部のファンから飛び出します。CAROL時代は革ジャン、リーゼントがトレードマークであったが、ソロでステージに立つと銀ラメのジャンプスーツで登場してきたことです。熱い論争はしばらく続くのでした。

 そして1976年7月4日、解散から1年数か月後に同じ日比谷野外音楽堂のステージにE.YAZAWAが登場します。この時のステージ衣装こそが上下白のスーツであり、その後のE.YAZAWAのトレードマークとなるのです。また、この時のバックバンドは解散したてのサディスティック・ミカバンドのメンバーによって結成されたサディスティックスが担当します。メンバーはギターに高中正義、ドラムに高橋幸宏、キーボードに今井裕、そしてベーシストに後藤次利という超豪華メンバーに加え、長年のギタリストである相沢行夫やドラムをもう一人、更にホーンセクションも加えた大所帯となったのです。

 またこのライブで“帰ってきたゾ〜!”という名セリフが生まれます! これはCAROL解散後、この場に戻ってきたぞという意味であり、この時代みなマネをしていたフレーズでもありました(笑) 収録曲は1stアルバムからと2ndアルバム「A DAY」からの曲で固められていますが、実際のライブではCAROLの曲も演奏されており、2001年にリリースされた映像作品にはしっかり収録されています。とにかく話し始めたら止まらないほど話題が多いアルバムなのですヨ〜!!!

 このアルバムも日本のロックがまだ生き生きとしていた時代の作品であることは間違いなく、他のアーティストであっても1973年〜1978年くらいまでに発売されたアルバムはどれもみな名作であることは間違いありません。この時代のアーティストの作品は後の日本のロックシーンの礎となった作品ばかりです。是非耳にすることをお勧めします!

 さて、今回で最終回となるわけですがいかがでしたでしょうか?好き勝手なことを言ってきましたが、やはり音楽をバックルーツすることは非常に重要な事だと思っています。サウンドのみならず使用していた楽器はもちろん、当時の時代背景なども照らし合わせてみると、納得できるような歌詞もたくさん出てきます。自分の好きなバンドのメンバーは何を聞いていたのか? これもまたバックルーツの一つであり、音楽的視野を広める事、間違いナシなのです。

 それと最後に音楽は実際に体感してみることが本当に重要です。ライブで音を体感することはもちろんですが、CDやアナログ盤で聞くことが、本当にアーティストが伝えたかったことがわかると私は思います。確かにサブスクや配信ライブは便利ではあるのですが、ロックは体感することが全てなのです。これは忘れないでくださいネ。長きにわたりお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました! アディオス、そしてとにかくこの1枚を聞け!!

 筆者:JS(清水 一)