この一枚を聞け![USA / KING CRIMSON]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。ラス前はプログレッシヴロック5大バンドの一つ、KING CRIMSONの1975年に発売した「USA(邦題:U.S.A)」です!

 KING CRIMSON、言わずとしれた奇才ギタリスト、ロバート・フリップを中心に1969年に作られたバンドで、デビューライブはストーンズのハイドパーク・コンサートの前座でありました。しかし、その演奏力はとてつもなく、当時ロックンロールが支流であったシーンの中で、ジャズとロックを融合したような新たなジャンルで、ロックファンの度肝を抜いたのです。

 デビューアルバムの「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」は50年以上経った現在でも売れているアルバムでロック史上に残るアルバムになっているのは皆さんご存知だと思いますが、実は私この時期より圧倒的に1972年〜74年解散までの70's CRIMSONでいう後期の方が好きなのであります。

 その理由としてまず曲が攻撃的なアプローチになり、即興演奏楽曲が多くなった事。それとなんといっても尊敬するベーシストの一人、ジョン・ウェットンのバンドへの参加が引き金となったのです。現在ではギターを弾いている私ですが、中高校生時代はベーシストでした。その少年だった私のヒーローがグレン・ヒューズ、クリス・スクワイヤー、ジョン・ウェットンの3人だったのです。この当時のウェットンのサウンドはとても攻撃的で、歪んだベース音がたまらなくカッコ良かったのです。ギターをも脅かすその存在は素晴らしいモノでした!

 そしてCRIMSON好きにトドメを差したアルバムが「RED(邦題:レッド)」でした。このアルバムは捨て曲が1曲もありません。最初から最後まで正座し、スピーカーをずっと見ながら聞けるアルバムなんです。余りに自分の中で当たり前のアルバムで、気が付いてみるとこのコーナーで紹介したことがありませんでした(苦笑)是非、こちらも聞いてみてください。全く裏切りません!

 このアルバムを発売した時期はプログレッシブ・ロック全盛の時期でありましたが、この「RED」を最後にCRIMSONは解散いたします。アルバム発売直前に収録したライブこそが今回紹介する{USA」です。1曲目の“Larks' Tongues in Aspic, PartⅡ”で幕開けとなる訳ですが、既に解散が目前だというのに演奏のアグレッシヴさは飛びぬけております。特にベースのブリブリ度はハンパ抜きです。さらにベースフレーズがとてつもないのはインストの“Asbury Park”とラストの“21st Century Schizoid Man”です。マジで聞き惚れます!!

 後に30周年記念盤として“Starless”や“Fracture”等が追加収録され、聞いたことのない“Starless”ライブヴァージョンにいたく感動した次第でした。当然のことですがこのアルバムもかなりオーバーダブされており、ヴァイオリン、キーボードのデヴィッド・クロスのパートの一部を、エディー・ジョブソンがダビングしたのは有名な話です。まぁ解散間近でしたのでバンド内は険悪であったのだと予測しますね。

 KING CRIMSONは何度かの解散や結成を繰り返し、もちろん現在も活動中。2021年11月には日本にもやって来てくれます。最近では御大ロバート・フィリップも奥様のトーヤと共に夫婦漫才のような動画を配信してます。昔の気難しいフィリップからは想像もできないような面白い仕上がりです。こちらもよろしければチェックを!

 本来なら私のプログレNo.1バンドはPINK FLOYDですが、70年代に完全なライブアルバムをリリースしていません。そこで2番手のKING CRIMSONがをご紹介しました。下記の全盛期PINK FLOYDの記事もあわせてご覧くださいね。来月は遂にラスト! 私が一生応援していくと誓ったあの方のアルバムで締めくくりたいと思います。とにかくこの1枚を聞け!!


【こちらももう一度聞け!!】
[IS THERE ANYBODY OUT THERE? THE WALL LIVE / PINK FLOYD]