この一枚を聞け![LIVE / ROBIN TROWER]


 今回紹介するアルバムはイギリスを代表するブルース・ギタリスト、ROBIN TROWERが1976年にリリースした初のライブアルバム「LIVE(邦題:ロビン・トロワー・ライブ!)」です。

 日本では余りなじみのないギタリスト、ROBIN TROWERですが、多分多くの方が彼が居たバンドの曲は聞いたことがあると思います。1967年に“A Whiter Shade Of Pale”でデビューしたプロコルハルムの初期ギタリストなんです。曲名が英名で解らないと言う方に邦題は「青い影」というタイトルが付けられていました。

 この曲自体はオルガンがメインでギター・サウンドはほぼ無いと言っても過言ではありません。この流れが後にROBIN TROWERのギタリスト人生を大きく変えることになるのです。60年代後半になると音楽シーンはより大音量になり、アグレッシブなサウンドが当たり前になって来ます。そこで登場してくるとんでもないギタリストこそが、ジミ・ヘンドリックスです。

 プロコルハルムは70年代初頭にヘンドリックスと共演し、ROBIN TROWERはヘンドリックスのズバ抜けたギターテクニックに魅了されてしまいます。これ以来、自身のギタースタイルは“ジミ・フリーク”に様変わりします(笑)プロコルハルム時代にはセミアコでプレイしていましたが、これを機にヘンドリックスと同じストラトに持ち替えるのです。

 それから間もなくプロコルハルムを脱退!さっそく自身のバンドを結成します。時代によって4人の時もありましたが、基本はヘンドリックスと同じトリオなんです。念には念を入れます。1973年にソロデビューを果たすとヘンドリックス亡きあと、“ポスト・ヘンドリックス”として人気が上昇し、1975年頃には大規模に全米ツアーを行うまで、英米で人気が出てきたのです。もちろん日本でも人気急上昇でこの時、ROBIN TROWERは30歳でありました。

 ここまで言えば、もうお解かりでしょう!ROBIN TROWERのギターテクニックはもちろん、ジミ・ヘンドリックスそのモノで、指クセや曲調までがヘンドリックスに酷似しています(笑)。唯一、サウンドは70年代半ばより進化し始めたエフェクトが使用されている為、少し新し目には聞こえます。使っているギターはもちろん、フェンダー・ストラトキャスターで、ジャケットにも写っているホワイト/メイプルネックは71年製と言われています。ただ裏ジャケではブラック/メイプルネックが映っている為、これと言ったこだわりはないようにも感じられます。

 1曲目はセカンドアルバム「BRIDGE OF SIGHS」に収録されている“Too Rolling Stoned”でスタート。イントロ部分からヘンドリックスの“Voodoo Chile”を髣髴させるカッティングとリズム! しかしヘンドリックスと大きく違うところはROBIN TROWERは歌わないんです。ヴォーカルはベーシストでもあるジェームス・デュワーが担当しています。そうです、ROBIN TROWERは常に弾きまくりなんです!

 そして3曲目にはヘンドリックスもステージでプレイしていた“Rock Me Baby”が収録されています。これがまた弾きまくりなんですネ〜。ヴォーカルさえ差し置いてしまうほど弾きまくってます! この辺も気にかけて聞くとなかなか面白いと思います。

 ROBIN TROWERの他にも70年代には数多く“ジミ・フリーク”のギタリストがいました。日本でも人気のあったFRANK MARINO & MAHOGANY RUSHなども素晴らしいです。合わせて聞いてみるとまた楽しさ倍増です。しかし、いつの時代でもジミ・ヘンドリックスの影響って凄いんだなと改めて実感したのでした。そんなこと思いつつ、このアルバムまた聞くとします。とにかくこの1枚を聞け!