この一枚を聞け![ON YOUR FEET OR IN YOUR KNEES / BLUE OYSTER CULT]


 今回紹介するアルバムはヘビーメタルの起源の一つであったBLUE OYSTER CULTが1975年に発売した、4枚目にしてライブアルバムである「ON YOUR FEET OR IN YOUR KNEES(邦題:地獄の咆哮)」です。

 メタルの起源という表現をしましたが、BLUE OYSTER CULTはサウンドを聴けば分かりますが、至って普通のハードロックバンドです。非常に多くのメンバーチェンジを行っているため、誰がオリジナルメンバーなのかよくわかりませんが、フロントマンである2人のギタリスト、エリック・ブルームとドナルド“バック・ダーマ”ローザーが居ればBLUE OYSTER CULTなのです。そして後者はほぼいつも“バック・ダーマ”と呼ばれています!

 バンド名やこのアルバムのジャケットを見てもわかると思いますが、かなりダークでオカルトチックな攻め方で、よくイギリス出身のブラックサバスと比べられたバンドでもあるのです。ただサウンド的にはオカルトチックな所は少なく、今聞くと至って健康なハードロックサウンドであります。ただ、バンドのマークも十字架をもじったりと、やはりサバスを大きく意識していたかもしれません。アルバムジャケットの車のフロントフラッグがバンドサインになってますので良く見ておいてください。

 また、メジャーデビューして間もないKISSが、このBLUE OYSTER CULTの前座でツアーを廻っていたのも有名な話です。

 サウンドを聞くと基本トリプルギターなんですが、このうち前記2名以外のギタリストがキーボードも兼ねていますので、サウンドの幅も非常に広いのがこのバンドの良いところです。2曲目に収録されている“Harvester Of Hell”などはMOOGシンセの音全開ですが、実に基本的な使い方で少々笑ってしまうところでもあります! しかしツインリードパートは素晴らしいものがあり、4曲目の“The Red & The Black”でのギターの掛け合いなどはなかなかスリリングで、私にとっては名曲ですね。そしてラストを飾るのはSTEPPENWOLFの名曲“Born To Be Wild”とロック定番でございます!

 私が初めてBLUE OYSTER CULTを観たのは1979年初来日公演で、たしか今は無くなってしまった新宿厚生年金会館だったと思います。79年はCAMEL、LINDA RONSTADTと来日公演が立て続けにあり、都下の街から通う私にとってはとても長い道のりでした(笑)。印象に残っているのは77年に発売されたアルバム「SPECTRES」に日本の大怪獣ゴジラをテーマにした曲、“Godzilla”が収録されています。もちろん公演地が日本でしたから、この曲を演奏したのですが、その際、会場後方からゴジラではない怪獣の着ぐるみが数匹登場したのには笑いました!

 もちろん曲間のMCである“リンジニュースヲモウシアゲマス、リンジニュースヲモウシアゲマス、ゴジラガギンザホウメンニムカッテイマス! ダイシキュウヒナンシテクダサイ! ダイシキュウヒナンシテクダサイ!”もしっかり、ギターのエリックが言っておりました。流石です!! そしてこのバンド、ライブ終盤にはメンバー全員(ベース除く)がギターを持って弾きまくると言う演出もあるのです。何でもありです(笑)

 そしてこのバンドもちろん今でも現役です! ギターのエリックに至っては75歳になっているようですが、ツアーもガンガン組まれています。少し前にはホワイトスネイク、クワイエットライオットのベーシストでもあったルディー・サーゾが在籍しておりました。まだまだ、現役でライブしまくって欲しいですね。負けてはおられません(笑)とにかくこの1枚を聞け!!