この一枚を聞け![ALL AMERICAN BOY / RICK DERRINGER]


 今回紹介するアルバムは、1970年初頭からホワイトブルースの神様と言われた、ジョニー・ウィンターと活動を共にしていた、RICK DERRINGERが1973年に初めてリリースしたソロアルバム、「ALL AMERICAN BOY(邦題:オール・アメリカン・ボーイ)」です。

 1969年、大手レコード会社と契約したジョニー・ウインターはセカンドアルバムリリース後に、歴史的大イベントであるウッドストック・フェスティバルに出場いたします。黒人音楽のブルースを白人がプレイする先駆者とも言え、ウッドストックでもジミヘンに続き、注目株でありました。そのジョニー・ウインターが70年代に入ると、よりバンドらしさを求め、ジョニー・ウインター・アンドを結成いたします。自分にはこれがバンドなのかはよく理解できませんが、歴史上はそうなっているようです(笑)。

 そのジョニー・ウインター・アンドでギターとヴォーカルを務めていたのが、今回紹介するRICK DERRINGERであります。70年にアルバム「Johnny Winter and」を発売し、その翌年に名盤「Live Johnny Winter and」を発売いたします。このアルバムはほぼカバー曲で構成されており、誰が聞いても楽しめるロックンロールナンバーが収録されていますので、こちらも是非に聞いてみてください!

 ジョニー・ウインター・アンドの活動に飽きたのか、73年にはまたソロ名義に戻ったジョニーを横目に、リックは自身もソロアルバムに力を入れ、出来上がった作品こそが、この「ALL AMERICAN BOY」なのです。参加しているメンバーは前記のライブアルバムでドラムを叩いていた、ボビー・コールドウェル(AORの方とは同名異人)に、数曲ではありますがジョニー・ウインターの弟である、エドガー・ウインターがピアノを弾いております。この時点でジョニー・ウインターとどう違うのかは知りません(苦笑)。

 特記するべきことは当時、ジャイムス・ギャングのギタリストであった、ジョー・ウォルシュ(後にイーグルスのギタリスト)が参加している事です。3曲目に収録されている“Teenage Queen”お5曲目の“Uncomplicated”がそれに当たり、特に“Uncomplicated”ではなかなか素晴らしいソロを聞かせてくれています。更にTOPを飾る“Rock and Roll, Hoochie Koo”はジョニー・ウインター・アンドのアルバムにも収録されています。リック自身の曲ですから収録するなとは言いませんが、“同時期にダブっても...”と感じるのは私だけでしょうか(笑)フォローするならこちらのアルバムのヴァージョンの方が、女性コーラスを加入させ、音が厚くなっている点ですね。

 リックの知名度は日本ではイマイチですが、自国ではやはりレジャンダリー・ギタリストであります。近年では2008年にエドガー・ウインターが来日した際に、ギタリストとして来日しています。昔は物凄い甘いマスクでしたが、今はだいぶイイお爺さんになってるみたいですね。

 ただこのお方、だいぶ拳銃好きで、数年前に航空機に銃を持ち込みまして捕まっています。その際に「俺は過去に何回も持ち込めた!」と言っていたという噂が...やや、困った方かもしれません。そんな事を笑いつつ、このアルバムを再度じっくり聞くとします。とにかくこの1枚を聞け!!