この一枚を聞け![FLINT / FLINT]


 今回紹介するアルバムは1978年に発売された謎のバンド、FLINTのデビューアルバム「FLINT」です。何故、邦題の記載がないかというと、多分このアルバムの日本盤は発売されていないからです。

 FLINTというバンド、日本知っている方が何人いるのかと思う位に謎のバンドなのですが、私もこのバンドを知ったのは10年ほど前になります。実は何を隠そうこのバンドのメンバーはほぼ、GRAND FUNK RAILROADのメンバーなのです!

 GRAND FUNK RAILROADは1969年にギターにマーク・ファーナー、ベースにメル・サッチャー、ドラムにドン・ブリューワーという布陣で衝撃的なデビューを飾ったバンドです。デビュー当時、レッド・ツェッペリンのサポートを行い、メインのZEPを前座のGRAND FUNK RAILROADが食ってしまったほど、盛り上がったと言う伝説を残すバンドなのです。

 バンドは1972年に大きな転機を迎えます。それまでトリオで活動していたバンドに、キーボードのクレイグ・フロストを加入させ、音の幅を更に広げてきたのです。翌1973年、プロデューサーにトッド・ラングレンを迎え、アルバム「WE'RE AN AMERICAN BAND」を発売します。この時代の中心であったハードロック・ブームに乗り、「WE'RE AN AMERICAN BAND」を不動の全米第2位を獲得することになるのです!!

 しかし、このアルバムを境にバンドの勢いは低迷していき、1976年にGRAND FUNK RAILROADは解散します。その理由は明らかでギターのマーク・ファーナーと他のメンバーとの不仲と言うのが一目瞭然と感じました。その証拠がこのFLINTであります(笑)

 FLINTのメンバーはマーク・ファーナーを除いた残りの3名で結成されています。ギタリスト以外のメンバーで結成したのですから、エマーソン・レイク&パーマーみたいなスタイルと思いきや、ギタリストはベースのメル・サッチャーが代りに弾いている曲もあります。しかし、重要な所はこのアルバムには2名のゲスト・ギタリストが招かれています。その1名が前記のプロデューサー、トッド・ラングレンです。この時期トッドは自身のバンド、ユートピアも絶好調で人気ギタリストでもありました。そしてもう1名がナント、奇才フランク・ザッパなんです。これにはアルバムを買った後、ビックリした次第です。

 アルバムの曲調は後期のGRAND FUNK RAILROADに似ており、1曲目のカバー曲(確かシュープリームス)“Back In My Arms Again”では、ホーンセクションを入れ、モータウンっぽくしています。10曲収録中トッドがギターを弾いているのが3曲、ザッパが弾いているのが1曲です。ムスタングから出るトッド・サウンドは聞けば一発で分かるサウンドを出しており、3曲目の“Too Soon To Tell“などはユートピアっぽくも聞こえます。ザッパが弾いているラストの“You'll Never Be The Same”は言われないとザッパと解らないような、サポートアーティストに徹しているようにも感じますね。

 しかしこのバンド、2年くらいで消滅してるようでして、2作目のアルバムも出していると言うのですが、未だにCD屋さんで見たことがりません(苦笑)。当然、日本盤など出ていないでしょうから輸入盤で探すしかないのですが、これほど知られていないバンドのCDなど、そう簡単に見つかりません。気長に探します!

 そして、現在でもGRAND FUNK RAILROADは存在しますが、やはりマーク・ファーナーは不在で、現在は元KISSのブルース・キューリックがギターを弾いています。もちろん、メルとドンも健在です。ファンとしてはやはりマーク・ファーナーと仲良くやって欲しいのですが、大人が拗れると上手く行かない物なんですナ(苦笑)。とにかくこの1枚を聞け!!