この一枚を聞け![OUTRIDER / JIMMY PAGE]


 今回紹介するアルバムはレッド・ツェッペリンのギタリストでもあるレジェンド、JIMMY PAGEが1988年に発売した唯一のソロアルバム、「OUTRIDER (邦題アウトライダー)」です。

 ツェッペリンはもはや世界のロックアイコンであり、アルバムに関しては全てのアルバムがチャートに上る超ヒットアルバムであることは皆さんご存知だと思います。しかし、JIMMY PAGEのソロアルバムと聞くと、“そんなの出してた?”という人が少なくないと思います。

 1980年、ツェッペリンのドラマーであるジョン・ボーナムが死去し、バンドは惜しまれつつも解散しました。82年にPAGEは映画のサントラ盤を制作し発売いたしますが、主だった活動は全くと言ってありませんでした。1985年になるとバッド・カンパニーのヴォーカリストである、ポール・ロジャースと共にTHE FIRMを結成します。この頃はMTV全盛の音楽シーンでプロモーションVTRと楽曲がセットになっている時代で、もちろんTHE FIRMも例外ではありませんでした。

 しかしバンドは2枚のアルバム残し、1986年にあっけなく解散。スーパーグループにはよくある事でありました(苦笑)。またこの間、ツェッペリンとしても動きがありました。全世界的に有名なチャリティー・フェス「LIVE AID」でレッド・ツェッペリンが1夜限り再結成されたのです。ドラマーにはトニー・トンプソンとフィル・コリンズが採用になったのも話題となりました。

 この頃からPAGEのソロアルバムのうわさが流れるようになります。82年に映画のサントラ盤はソロとしてはカウントされていないので、実質これが初めてのソロアルバムという事になるわけです。リリースされると即購入し、レコードに針を落とすと、かなりツェッペリンに似た曲調に少し安心したのを良く覚えております!

 参加メンバーは無名のヴォーカリスト、ジョン・マイルズを中心に、ゲストで本家のロバート・プラントも4曲目の“The Onry One”で参加しております!これがまた、実にツェッペリンしているのですヮ!また、注目すべき点はドラマーはほぼ全曲、ジョン・ボーナムの息子であるジェイソン・ボーナムが叩いているのです!この方のお陰で更にツェッペリン感が増しているのです。なお、ギタリストのソロアルバムですから、全9曲中3曲がインストナンバーで、レオン・ラッセルの“Hummingbird”もカバー曲として収録されているのが、実にオシャレです。そしてアルバム発売時にはジェイソン・ボーナムを含めた4名でツアーも行っています。そこもまたツェッペリンっぽいですよね。

 ドラマーのジェイソン・ボーナムは現在、JASON BONHAM's LED ZEPPELIN EVENINGで活動中です。そのJBLZEのギタリストこそが日本人のJimmy Sakurai氏であります。そのJBLZEがピーター・フランプトンとツアーでサンディエゴ公演を行った場所は、1988年にPAGEがOUTRIDER TOURで公演を行った場所であったことを後で知らされたそうです。なんか、凄く巡り巡って繋がっている話に感動しましたネ!

 さらにJimmy Sakurai氏からお伺いしましたが、現在アメリカではトリビュート・バンドの地位がもの凄く上がってきているそうです。CDが売れなくなった半面、クラシック・ロックが当時と同じくらいのパワーやパッションで聞けるようになっている文化が構築されており、ホールクラスの会場が各地でSOLDになっているそうです。将来、日本にもこの様な文化がしっかり根付くことを強く望みたいですね。

 ただ、曲だけをコピーするだけではなく、そのシーンやバンドの考え方、時代によって違う演奏スタイルなどもトリビュートするバンドが最終的には残るような気がしますね!そんなこと思いながら、このアルバムを再度聞くこととします、とにかくこの1枚を聞け!