この一枚を聞け! [ROCK UNTIL YOU DROP / RAVEN]


 今回紹介するアルバムは1981年にイギリスでデビューしたメタルバンド、RAVENの1stアルバム「ROCK UNTIL YOU DROP(邦題:ロック・アンティル・ユー・ドロップ)」です。

 1970年代後期、パンクムーブメントが衰退してきたイギリスでは、新たな音楽シーンが生まれました。その名も“New Wave Of British Heavy Metal”! 略してNWOBHM!! パンクムーブメントは反体制的で政治色が強かった音楽に対し、NWOBHMは正にその逆いくようなムーブメントとなりました。アイアン・メイデンやデフ・レパードなど、筆頭となるバンドが続々と70年後半にデビューします。

 今回紹介するRAVENもその真っ只中の1981年にデビューします。メンバーはギャラガー兄弟からなる、ベース&ヴォーカルのジョン・ギャラガー、ギターのマーク・ギャラガー、そしてドラムのロブ“ワッコ”ハンターからなる3ピースバンドです。実はこのバンド、この当時良く遊んでしたあるアーティストの方から、“凄いイカしたバンドがいる”と言われ、レコードを買った(買わされた?!)のが、このバンドを知るきっかけでした(笑)

 レコードに針を落とすとまず“やたら楽しそう!”という感じが全開です! そしてやたらとヒステリックなハイトーン・ヴォイスで、ギターの音も実にイカしてる。アルバムの中の写真を見ると、フェンダー・テレキャスターを使っているが、テレキャスでこんなに太い音が出るのかと思ったほどでした! そして2曲目目の“HellPatrol”が始まると、“オ〜速いね〜!”と感じたものでした。しかし、今聞くと普通のロックに感じます(笑) 何故なら、今の音楽は数倍も早く、重い音楽に成長している空なのではないでしょうか! 実に時代を感じます。

 そして私が最も注目したのが9曲目に収録されている“Hellraiser/Action”です。気が付いた方もいるともいますが、70年代一世を風靡したハードロックバンド、SWEETの曲をカバーしています。それも3人でなかなかの疾走感を再現してくれています!メドレーになっているのもなかなかの演出ですね。

 また、特筆すべきはこのバンドのドラマー、ロブ“ワッコ”ハンター! 典型的な2バス・ドラマーでありますが、そのスタイルはなかなかファンキーで、アメフトのヘルメットを被りながらドラム叩いてます。好きですね〜そのファンキー具合が!!

 RAVENはデビュー以来、大物メタルバンドのサポートを数多くこなしていましたが、やはりB級メタルバンドからなかなか抜け出せませんでした。でもそのB級こそがこのバンドの魅力でもあったと思います。この面子での活動は87年にて終了していますが、まだバンドは現役でございます。2019年3月に来日しております! 先日もGIRLSCHOOLなどを来日招聘していたUPP-tone-musicさんが呼んでくれました! 観には行けませんでしたが、この時代のバンドが見られるなんてなかなか嬉しいですよね。

 メタル・ミュージックが盛んであった80年代には、音楽シーンも非常に盛り上がっており、常に新しいムーブメントが次々と生まれていました。82年にアメリカにて行われた「USフェスティバル」のMETAL DAYには数十万人のオーディエンスがメタルバンド観たさに集まったと言われています。昔を懐かしがるのは少しダサい気がしますが、でも音楽シーンだけはこの時代が非常に熱い時代であったのは間違いないですね。

 今年もKISSやU2といった往年のバンドが次々と日本にやって来ます。ジジイのバンドという事だけでは片付けられない凄さをしっかりと持っています!まずは会場へ足を運んでいただきたいですね。そんなことを思いつつ、とにかくこの1枚を聞け!!