この一枚を聞け! [DAMN YANKEES / DAMN YANKEES]


 今回紹介するアルバムは1990年にデビューしたスーパーバンド、DAMN YANKEESのファーストアルバム「DAMN YANKEES(邦題:ダム・ヤンキーズ)」です。時はLAメタルが衰退をしはじめ、新しいハードロックやヘビーメタルが生まれ始めた変革期であります。

 DAMN YANKEESは凄いメンツからなるこの時代流行のスーパーバンドであります。ギター&ヴォーカルにSTYXのトミー・ショウ、ベース&ヴォーカルに解散したてのナイトレンジャーからジャック・ブレイズ、そして野獣のテッド・ニュージェントがもう一人のギター・ヴォーカルなのであります。この凄腕たちにドラムのマイケル・カーテロンを加えて1989年頃から活動を開始しています。

 このバンドの凄いところはただのアメリカン・バンドではなく、フロントの3人が全員歌えて、しかもフロント3名が全員動き回れるという事です。過去、世に出てきたスーパーバンドは意外に動きが鈍かったり、歌わなかったりといろいろでしたが、このバンドのコーラスなどはスゴイの何のって(笑) しかも、このフロントの3人をいっぺんに同じステージ観られるなんて最高ですよね!

 私にとっては1978年にテッド・ニュージェントを武道館で観て、あまりの野獣ぶりにブッ飛び、1982年にSTYXを同じく武道館で観て、素晴らしいステージセットと音の良さに仰天! そして翌1983年には新宿厚生年金会館でナイトレンジャーを観て、アメリカンロックの真髄に感動したのです。そんな私にとってはこのバンドはまさに夢のようなバンドでありました。

 1曲目の“Coming Of Age”では静かなギターイントロで始まりながら、音を重ねながらハードにドライビングしていく王道ハードロックはホントたまりません!! 晴れた日に車に乗り、窓を全開に空けた状態で大音量で聞きたくなるような曲とはこんな曲なんです。3曲目の“High Enough”は全米でTOP10にも入った大ヒット曲で、ハードなバラードで“STYXっぽさも残したナイトレンジャー風”とでも言いましょうか、サビのコーラス部が特に素晴らしいのです。特に私のお気に入りは8曲目の“Rock City”! 実にテッド・ニュージェントの楽曲ぽさの中に、ジャック・ブレイズとトミー・ショウのコーラスがバッチリ決まってます。このコーラスをライブで再現できるんですからこれまたビックリですヮ。

 1992年2枚目のアルバム「DON’T TREAD」を発売したころには、ファーストアルバムの発売時より少しバンドのパワーが落ちたのではと感じたのですが、1993年にはこのメンバーで初来日を果たすのです。会場はさほど大きな会場では無かった記憶ですが、DAMN YANKEESの曲の演奏はもちろんですが、テッドのソロ時代の“Free For All”やナイトレンジャーの“Rock In America”なども演奏したのは超感激でした。この3人が揃うのですから、それはあたりまえですよね。当然ですが前記の私のお気に入りの曲も確か全て演奏してくれた記憶です(鮮明でなくすみません)

 しかし、スーパーバンドは所詮スーパーバンド! 過去にもDEEP PURPLEのデビッド・カヴァーデイルとLED ZEPPELINのジミー・ペイジが結成したバンド「 COVERDALE・PAGE」や、元BABYSのジョン・ウェイトと活動停止したJOURNEYのニール・ショーンとジョナサン・ケインが在籍した「BAD ENGLISH」。古くはクラプトン、ジンジャー・ベイカー、スティーヴ・ウィンウッドとで結成した「BLIND FAITH」も共通している事は実に短命であることなんです。このDAMN YANKEESも前記のバンド同様に実に短命でした(笑)来日公演が終了した翌年には既に消滅していたよすな感じでしたね。そりゃそうでうよね!それぞれのバンドやソロで、中心人物のような方々が集まっているわけですから、そりゃもう皆がわがまま全開なのはお決まりと言ったところでしょうね。

 今回、この記事を書くにあたってYoutubeを見まくっていましたら、2012年のSTYXのステージにテッド・ニュージェントが飛び入りし、トミー・ショウと“Comming Of Age”を演奏しておりました。その歌声やワイルドなギターは何も変わっておらず、今も一線を走りまくっているアーティストを見ると実に元気になりますよね。このバンドの再結成は無いでしょうが、この様な形でいろいろなステージで歌い継いで言ってくれるとうれしいですね。しかし、テッド・ニュージェントは日本にもう来ないだろうな〜、日本じゃイマイチ人気ないからな〜(悲) とにかくこの1枚を聞け!