この一枚を聞け! [BRIEFCASE FULL OF BLUES / BLUES BROTHERS]


 今回紹介するアルバムは、ダン・エイクロイドとジョン・べルーシの凸凹コンビ、BLUES BROTHERSが1978年にリリースした、ファーストアルバムであって、ライブアルバムでもある「BRIEFCASE FULL OF BLUES(邦題:ブルースは絆)」であります。

 BLUES BROTHERSの起源は1976年、当時アメリカで放映されていた人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に違うバンド名で出演していました。78年になり同番組からBLUES BROTHERSに名前を変更し、デビューすることになったのです。やはりテレビの力は絶大なのか、大物アーティストの前座(現在のオープニングアクト)を手に入れるのです。その公演の演奏がこのアルバムに収録されているのです。なかなか凄い展開ですよね!

 更にテレビの力は絶大なのか、このアルバムは翌年全米No.1を獲得するのです! ここまで聞く流れだと、大した内容ではないので思われがちだが、そこがこのアルバムの一味違うところなんです。コメディー俳優でありながらミュージシャンでもあったダン・エイクロイドとジョン・べルーシの才能はただ者ではなく、唄って踊れるエンターティナーであったのです。

 しかもこのBLUES BROTHERSを支えているサポートミュージシャンが半端ないって! ギタリストにブッカー・T&ザ・MG’sのギタリストでありながら、オーティス・レディングやサム&デイブをサポートしていたスティーブ・クロッパー。べーシストにはスタックス・レーベルの専属ベーシストでオーティスやサム&デイブ、エリック・クラプトンなどもサポートしていたドナルド・ダック・ダン。ドラムにはボブ・ディランやB.B.キングなどもサーポートしていたスティーヴ・ジョーダン。この他にもトム・スコットや大勢のホーンセクションを従えての大所帯バンドであるのです。

 それぞれのバックボーンをしっかりと持ったアーティストから出てくるサウンドは、実に軽快でグルーヴ感全開の音楽なのであります。アルバム1曲目はオーティス・レディングのナンバー、 “I Can’t Turn You Loose”からスタート。前座バンドというレベルではないそのグルーブ感は絶品の一言!! 個人的には6曲目の“Shot Gun Blues”が大好きであります。クロッパーの渋いブルース・ギターが全開なのであります。ボーカルよりギターの方が目立ってる感じもしますね(笑)そして9曲目の“Soul Man”は誰でも知っているスタンダードなナンバー。そのノリは後にいろいろなバンドがカバーしていたと思います。

 そしてこのバンドの更に面白いところは、フロントマンの2名がコメディー俳優ということもあり、このバンドを映画化してしまうところであります。公開はこのアルバムが発売された2年後の1980年で、設定はアメリカ映画によくあるハチャメチャな設定! しかも配役が最高に面白い。牧師役にジェームス・ブラウン、バンドメンバー妻役にアレサ・フランクリン、楽器店の店主にレイ・チャールズ、囚人役にイーグルスのジョー・ウォルシュとこちらもハチャメチャ。もちろんバンドメンバーもバンドメンバー役として出演しています。

 音楽も最高だがこちらの映画も是非見ていただきたい! ハチャメチャ度としては先日公開された「スパイナル・タップ」やジャック・ブラック主演の「スクール・オブ・ロック」なんかにも通じるところもあるかもしれません。しかし、音楽はしっかりとしているところがやはりアメリカの映画なんですよね。

 先日、この映画にも出演していたアレサ・フランクリンが他界しました。飛行機嫌いが有名で、当然ではありますが来日もしていないアーティストであります。レジェンダリーなアーティストの他界が止まりません。悲しいですが、そのアーティストの残してくれた音楽をまた聞き返すとします。とにかくこの1枚を聞け!

(2018/8/27 記事内記述に、映画配役の誤りがあったため訂正しました。)