この一枚を聞け! [HIGH VOLTAGE / AC/DC]

HIGH VOLTAGE / AC/DC
 今回紹介するアルバムはオーストラリアが誇る国民的バンド、AC/DCが1976年に発売したメジャーデビューアルバム「HIGH VOLTAGE(邦題:ハイヴォルテージ)」です。

 先日、AC/DCの中心的人物の一人、ギタリストのアンガス・ヤングの兄であり、強烈なリフの生みの親であるマルコム・ヤングが亡くなりました。ロック歴史の1つがまた消えてしまった...。今回は追悼の意味も含めこのアルバムを紹介したいと思います。

 実はこのアルバムはメジャーデビューアルバムであって、本来のデビューアルバムではありません。今で言うインディーズ時代に同名の「HIGH VOLTAGE」、「T.N.T」というアルバムを発売しており、このメジャーデビューアルバムはその2枚のインディーズ・アルバムの良いとこ取りアルバムなのです!

 スコットランド生まれのヤング兄弟がオーストラリアに移住し、1973年に結成したバンドこそがAC/DC! 当時のメンバーで今も在籍してるメンバーは居ませんが、機材車の運転手こそがその後のAC/DCの運命を変える男となります。その男こそがこのアルバムでヴォーカルをとっているボン・スコットであります。街のゴロツキがそのままロックバンドのヴォーカリストになり成功していくその姿は正にロックドリームですね。

 まず1曲目の“It's A Long Way To The Top(If Wanna Rock n' Roll)”! いきなり強烈なリフから始まるが、見せ場はギターソロ部でバグパイプとの掛け合い! もうよくわからんです(笑) ボンが学生時代、バグパイプ部に入部していたためになのか? その辺は私にもよくわからないです。そして私のお気に入りの曲「T.N.T」! まずいきなり“オイッ!”“オイッ!”“オイッ!”“オイッ!”という掛け声とともにリフがスタート。もうこれで虜であります。ライブで演奏したら間違いなく大合唱になる曲なのです。基本、Aで始まる曲が多く、難しい構成など全くない、“どストレートな曲”がAC/DCの魅力なのです。

 このアルバムは当時大して売れはしませんでしたが、1979年に発売される「HIGHWAY TO HELL(邦題:地獄のハイウェイ)」でアメリカでも認められ、各国で火が付きアッと言う間にスターバンドへと伸し上がります。しかし、ここでまた運命の歯車が狂い、なんとヴォーカルのボン・スコットが1980年に他界してしまいます。せっかく軌道になり始めた矢先の事でした。一時期は解散も視野に入れたらしいですが、アンガス・ヤングは前へ進むことを選び、新しいヴォーカリストのブライアン・ジョンソンを加入させます。そしてその年に発売した「BACK IN BLACK(邦題:バック・イン・ブラック)」こそが、世界的バンドに伸し上げたビックセールス・アルバムとなったのです。なんかストーリーそのものがROCKですよね!

 また、AC/DCはアーティストにも大人気で、ストーンズのキース・リチャーズ、オジー・オズボーン、ガンズのスラッシュなど数多くのミュージシャンがファン宣言しています。俳優のジャック・ブラックなどはリスペクトのあまり「スクール・オブ・ロック」という映画の中でAC/DC好きの先生に扮し、生徒にロックを教えると言う面白い映画も撮っております。しかもこの映画のなかで“It's A Long Way To The Top(If Wanna Rock n' Roll)”はテーマ曲にもなってる力の入れようなんです。

 そして地元オーストラリアではAC/DCは国民的英雄です。通りに“AC/DC通り”という名前を付けたり、ボン・スコットなどは銅像も立っているほどなんです。アイルランドのフィル・リノットにも似ているところがありますね。

 AC/DCは現在も活動中のバンドでありますが前途多難であります。ヴォーカルのブライアン・ジョンソンは聴力障害でバンドを離脱。脱退はしていない様ですがどうなる事やら。マルコム同様、ずっとバックでベースを弾き続けていたクリフ・ウィリアムズは昨年引退を表明。そしてマルコムの死。アンガス・ヤングだけいればいいと言うファンもいるようですが、今後どうなってしまうんでしょう... とにかくこの1枚を聞け!!

そして RIP:Malcolm Young。