この一枚を聞け! [LIVE / DONNY HATHAWAY]

LIVE / DONNY HATHAWAY
LIVE / DONNY HATHAWAY

 今回紹介するアルバムは1972年、ダニー・ハサウェイが発表したライブアルバム「LIVE(邦題:ライブ)」であります。何の捻りもないこのタイトルこそが真のライブアルバムなのです。

 ダニー・ハサウェイは1970年、ソウル界の新星としてデビューします。時代はハードロックやフォークロックが全盛になりつつある時代、同時代に活躍していたマーヴィン・ゲイとともに「ニューソウル」などというジャンルで一躍有名になったのです。

 きっかけは1971年、キャロル・キングの名曲“You've Got a Friend”を女性ソウルシンガー、ロバータ・フラックとデュエットした曲が大ヒット! 黒人歌手が白人歌手の曲をカヴァーすることがあまりなかった時代、非常に珍しい存在でもありました。まあ、ブラック・コンテンポラリーの先駆者とでも言っておきましょう。

 そしてこのライブの凄いところのの一つ目はバックを務めるアーティストたちです。まずギターはコーネル・デュプリー。デュプリーは後にスタッフ(バンド名)のメンバーとして活躍します。スタッフはもう一人のギターにエリック・ゲイル、キーボードにリチャード・ティー、ドラムに巨匠スティーヴ・ガッドと言ったメンバーで結成されたジャズ・フュージョン・バンドです。

またベースを弾いているのは超有名ベーシスト、ウィリー・ウィークスであります! 彼が参加したアーティストはストーンズ、アレサ・フランクリン、エリック・クラプトン、デヴィッド・ボウイ、ビリー・ジョエル、BB・キングと挙げたらキリがないほど、いろいろなアーティストのバックでプレイしている名手なのです。モータウン・ベーシストの重鎮、ジェームス・ジェマーソンのプレイを見事に継承したアーティストの一人とも言えるでしょう。このアルバムのラストに収録されている“Voices Inside (Everything Is Everything)”の曲中のべースソロはまさに圧巻です!

 このような超有名人に囲まれながら狭いライブハウスで繰り広げられたパフォーマンスを、この「LIVE」では忠実に収録されており、その空気感が実によく音に現れています。1曲目はマーヴィン・ゲイの名曲、“What's Going On”で幕開け。本家の歌よりグルーヴ感が感じられるのは私だけでしょうか?! そして、前記の“You've Got a Friend”ももちろん披露されています。観客と大合唱するこの曲は何度聞いてもカッコイイです。そしてジョン・レノンの名曲、“Jealous Guy”もプレイされています。個人的にはロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーが歌っている“Jealous Guy”の方がカッコイイと思いますが・・・(失礼)

 また、このアルバムの中ジャケにはアレサ・フランクリンやロバータ・フラックといった著名人の“ダニーはイケてる”コメントがガッツリと掲載されているのも面白いですね。

 そしてこのアルバムを発売した翌年の1973年、ロバータ・フラックとの共作「ROBERTA FLACK & DONNY HATHAWAY」で、ハサウェイは遂に全米で超ブレイクすることとなります! この流れって実にアメリカン・ドリームですよね。しかし、栄光は長く続かないもので、1979年に33歳の若さでハサウェイはこの世を去ります。この時代のアーティストって皆、短命であり強烈な印象で歴史に名を残すのが定説でもあるようにも感じます。この歴史を感じつつ、またこのアルバム聞くとします。

 とにかくこの1枚を聞け!!