スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第11回

Gibson Custom 2014 CS Long Scale Les Paul 59 Profile Neck Gloss Washed Cherry



1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 2014年より新しくカタログラインナップに載ったギブソンカスタムのNEWプロダクトであるCSロングスケール・レスポールをご紹介しましょう。

 こちらのモデルはプライスリスト上、二種類のネックシェイプがあります。黄金時代のレスポールネックとして最も高く評価されており、プレイスタイルを問わず人気の高い59 Profileと、テクニカルなフィンガリングでもストレスがないように細身に仕上げられたV2 Slim Taper 60 Profileがラインナップされています。カラーは今回ご覧いただいているウォッシュド・チェリーと、アイスティー・サンバースト、アンティーク・ゴールドの三色展開です。

 本器はロングスケールモデルということで、25 1/2インチスケールが採用されております。ギブソン・エレクトリックではL-5やSuper400などのアーチトップ・ジャズギター等を除き、大多数のモデルでは24 3/4インチ・ミディアムスケールを採用しています。それに対して一般にフェンダースケールとして認識されているのがロングスケールです

 ギターのスケールとはナットからブリッジサドルまでの長さのことを指しております。日本でインチという単位を使うのは、あまり馴染みがないかもしれません。一般の方の日常生活では靴のサイズや、タイヤのサイズ、コンピュータ部品くらいでしょうか。1959年に締結された国際協定により1インチは2.54cmとして定められており、1フィート(304.8mm)の12分の1、1ヤード(914.4mm)の36分の1にあたります。ですので、ロングスケールというのは25 1/2は647.7mm、24 3/4インチ628.65mm。これは四捨五入されたり、またカタログによっては、それを等分した12フレットのオクターブ位置での数値で324mm、315mmと表記される場合もあります。

 ロングスケールとミディアムスケールの弦長の違いは19.05mmですので高々2センチ足らずの違いですが、当然フレットのインターバルも異なり、弾いたときのタッチは全く別物です。「テンション」と「テンション感」という言葉は似て非なるもので、弾き心地はナットやブリッジまわりの仕様とセッティング、ヘッド角、ネック角、フレットのサイズ等々で大きく変化するものですから、一概に表現するのは難しいところですが、2cm弱もスケールが違うと弦のゲージひとつ分くらい上げたような違いを体感される方が多いのではないでしょうか。

 そうなると、もちろん音色も全く別物です。ギブソンオフィシャルのYouTubeにて、カントリー/ブルースギタリストとして活躍しているリー・ロイ・パーネル氏によるデモ演奏がご覧いただけます。



 こうして聴いてみると、ブラインド状態では中々レスポールの音には聴こえないのではないでしょうか。そもそも製品開発にあたってのコンセプトとしては、ドロップ/ダウンチューニングやスライドでのオープンチューニングの際に必要な弦のテンションを得る事に重きを置いていたと思うのですが、結果として、音色も従来のモデルとは全く異なるものとなっております。

 是非一度、実際に手に取って頂きたいのですが、レギュラーチューニングの際にも、煌びやかな鈴鳴り、音の粒がアタッキーに跳ね上がるような感覚が楽しめるレスポールで、ピアノのように豊かな広がりの響きで、指先のイメージがソリッドにアウトプットされるギターに仕上がっています。ヒストリック・コレクションに準じるような伝統的なルックス・フィーリングとともに、より現代的なフレキシビリティを兼ね備えた意欲作で、多編成の中でも音が濁らずバッチリ使いやすいトーンですね。

 こちらのモデルは、ポジションマーカーも一般的な台形のトラピーズ・ディッシュインレイではなく、ES-345 やES-175のそれと近似したダブル・パラレログラム(平行四辺形)インレイをセレクトしております。ボディの両面に施されたセルバインディングが、通常のレスポールと全く異なった精悍さを主張しているプレミアムな一本です。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。