Ishibashi Mail Magazine Vol.145
Ishibashi Mail Magazine Vol.145
 | 今回紹介するのはキングクリムゾンのメンバーでもあった、PETE SINFIELDの1973年に発売された初ソロアルバム「STILL 」です。 PETE SINFIELDと聞いてオッと思う人はかなりのプログレッシブ・ロック好きと言えると思います（笑） ある程度ロック史を知っている方でも、「そんな人居た？」と思えるくらいなのですが、実はこの方の功績はプログレ界では非常大きく、まさに重要人物と言えるのです！ 1969年、ビートルズの名盤「ABBEY ROAD」を唯一、チャートから引きずり下ろしたバンドが、キングクリムゾンであり、そのチャートインしたアルバムこそが「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING 」なのであります。キングクリムゾンは中心人物であるギターのロバート・フリップが組んでいたバンド、「ジャイルズジャイルズ & フリップ」が進化したバンドであります。この辺の流れはあまりに入り組んでいて、話が長くなりますので割愛させていただきますネ。 デビュー時のメンバーはギター、メロトロンにロバート・フリップ、キーボード、メロトロンにイアン・マクドナルド、ドラムにマイケル・ジャイルズ、ベース、ボーカルにグレッグ・レイク、そして詩人にピート・シンフィールドと言う布陣です。サラっと言いましたが「詩人って？」と思った方がほとんどだと思います。そうなんです、PETE SINFIELDはこの当時は楽器を持たないメンバーであったという事です。この発想が既に音楽を超越しております。 しかも、前者2名に関してはメロトロンという楽器がパートに加わっています。この当時、プログレにはこの楽器が無くてはならない存在でした。特にクリムゾンにおいてはこの楽器の使用頻度が高く、クレジットにも入ったのではないかと推測されます。余談ですがこの当時の物価でも、メロトロンは100万近くする高額な楽器だったのを覚えております。 PETE SINFIELDはキングクリムゾンに1972年まで在籍し、4作の名盤スタジオ・アルバムの詩を手掛けています。そして、クリムゾンを脱退後に制作したアルバムこそがこの「STILL」であります。全般的にその世界観は正に初期のクリムゾンを髣髴させ、あらゆるジャンルを詰め込んだ力作と私は思います。しかも、参加アーティストも半端でない。初期のクリムゾンのベース＆ボーカルで、この時期はEL&Pのベース&ボーカルでもあったグレッグ・レイク、グレッグ脱退後のベース＆ボーカルであったボズ・バレル、そして解散までのベース＆ボーカルであったジョン・ウェットン、イアン・ウォーレス、メル・コリンズとほぼ全ての参加メンバーがクリムゾン陣営で固められているのです。ホント凄いッス!! そしてこの年末、そのキング・クリムゾンが12年ぶりに日本にやって来ます。私が見たのは1981年の初来日で以降見ていなかったので、実に34年ぶりという事になります。81年の来日公演では私の思っていたクリムゾンではなかった為、それ以降見に行く気が起きませんでした。 しかし、今年は見に行こうと思います。先日、YESのベーシストのクリス・スクワイヤが亡くなりました。やはり皆、歳を取ってきているのは事実であって、レジェンドなバンドは今後は見送らずに見まくって行こうかと思っております（笑）そんな事思いつつ、とにかくこの1枚を聞け!!  バックナンバー |