Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.144

スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第24回

Fender USA Custom Shop / MBS Jeff Beck Signature Stratocaster NOS Olympic White built by Todd Krause



1

2

3

4

5

6

7

8

9

10
 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 つい先日、2015年4月の代理店変更にともなって新設されたFender「ディストリビーション・センター」をイシバシ楽器店スタッフとして初訪問、選定買い付けを行ってまいりました。世界的なトップブランドにふさわしい膨大な規模の物流センターでして、訪問レポートは→こちらからご覧いただけますので是非チェックしてみてください。

 今回は、ラッキーなことにフェンダーDCには超敏腕ビルダーのトッド・クラウスが製作したJBストラトが複数本あり、その中で最も良いフィーリングの個体を買い付けしてまいりました。今年6月に71歳の誕生日を迎えたジェフ・ベックですが、9月には横浜赤レンガパーク野外特設ステージでのブルーノート・ジャズフェスティバル、ZEPP TOKYO、ZEPP NAMBAでのライブハウス公演も含む待望の来日ツアーの予定が組まれております。この機会にジェフ・ベックが愛用してきたフェンダーギターの変遷について簡単におさらいしておきましょう。

 ジェフ・ベックの使用したフェンダーギターに着目すると、まずはウォーカー・ブラザーズの、ジョン・マウスから譲り受けたと言われるエスクワイヤや、そのギターをトレードして手に入れた、テレギブ(1981年シークレットポリスマンライブ等でも仕様)が有名です。とりわけ、ストラトキャスターに関しては、「ストラトマスター」として知られるJBだけあって実に数多く所有しています。以前よりオリンピックホワイトは好んで使用していましたが、その中でもシェクターアッセンブリを搭載したと言われるブラックガードや、第二期ジェフ・ベック・グループの頃のナチュラルのストラト、1986年の軽井沢ライブでもおなじみの鮮やかなイエローのストラトなどは外せないところです。また1954-1955年製のサンバーストをヤン・ハマーとプレイしているイメージも強いですね。

 フェンダー社が製作したジェフ・ベックのシグネチャーモデルとしては、1989年発売の「ギター・ショップ 」の頃からメインとなったサーフグリーン・フィニッシュの通称「リトル・リチャード」が特に有名です。市販されたモデルでは既発のストラト・プラスというモデルをモチーフにしたようなスペックで、レースセンサーピックアップをSSHレイアウトで配置。プッシュスイッチでリアピックアップをハム/シングルに切り替えることができ、初期のものだとレスポールのようにかなり太いネックが特徴的でした。

 2001年頃のアップデート後は、セラミック・マグネットを縦積みしたスタック構造のホットノイズレス・ピックアップをフィーチャーしています。スムーズなアーミングが可能な二点支持式トレモロユニットで、チューナーはシュパーゼルスタイルのロックペグ。ナットは基本的にはLSRスタイルのローラーナットを搭載していますが、今回ご覧いただいているマスタービルトモデルなどでは、ウィルキンソン・スタイルの大きなナットが取り付けられています。熱心なJBフリークにはやはりこの仕様でしょう。ネックジョイント部にはヒールレスカットが施されてハイポジションでの演奏性が高められており、ホットで伸びやかなトップエンドの素晴らしい鳴りと、パワフルで濃厚なボトム〜ミッドレンジが楽しめるモデルです。

 JB本人のメインギターは当時のフェンダーカスタムショップ・マスタービルダーJ.W.ブラックが製作したネックを使用し続けているというのが通説ですが、その後、アート・エスパーザやトッド・クラウスら次の代のマスタービルダーへと仕事が引き継がれています。ジェフ・ベックモデルはジョン・メイヤーなどのトップギタリストも多く愛用しており、ストラトキャスターそのもののポテンシャルの高さを悉く追求したギターに設計されています。ギタリストが敬愛するギタリストでありながら、決してギター音楽の枠組み内に留まらない、その豊かな音楽的想像力を実現するに最適なギア。みなさんも当店の店頭にて手に取っていただければと思います。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてサブマネージャー(副店長)を務めている。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。