Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.142

スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第22回

Gibson Custom 2015 True Historic 1960 Les Paul Reissue Vintage Cherry Sunburst



1

2

3

4

5

6

7

8

9

10
 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ついにお待ちかねのギブソンカスタム2015年モデル出荷が開始となりました。今年の1月に開催されたNAMM SHOWにてプロトタイプの展示が行われ、各所で話題を呼んでいた新製品です。従来のギブソンカスタムのフラッグシップモデルであったロングセラーモデルのヒストリック・コレクション・シリーズは生産完了となり、その後継モデルとしてネクストレヴェルのカスタムショップクオリティを追求したのがこちらのトゥルーヒストリック・シリーズという位置付けになります。

 本シリーズではそれぞれ年間を通しての製作限定本数が設定されています。そうすることで、製作工程の大幅な見直しを可能にし、ボディマテリアルのグレードも含め、「真実のオリジナルヴィンテージ」に肉薄する数々のアップデートを実現した最も精巧なヒストリック・リイシューが実現されました。

 ギブソンカスタム・トゥルーヒストリック・シリーズの限定本数は1956年モデルのレスポール・ゴールドトップが200本、1957年モデルのレスポール・ゴールドトップが300本、1957年モデルのレスポールカスタムが200本、1958年モデルのレスポール・スタンダード全色が300本、1959年モデルのレスポール・スタンダード全色が800本、1960年モデルのレスポール・スタンダード全色が200本。

 それらは、いずれも日本への出荷数ではなく、世界全体での限定本数です。2014年モデルのHistoric Collectionでは1959年モデルのレスポール・スタンダードだけでも製作本数が3,000本を越えておりましたのでその稀少性は想像に難くないでしょう。相応の値上がりがあったにも関わらず、当店に入荷した個体は展示後間もなく即完売。「店頭で実物を見られただけでもラッキー」というくらいの入荷本数となっています。

 それでは、新仕様について着目してみましょう。

 ボディとネックの成型には、従来のCNCルーターによるシングルステップのラフカーヴィングと、スラックベルトを使用したシェイピングによる工程から変更が施されました。新しくダブルステップのCNCラフカーヴィングと、手仕上げのサンディングを融合させることにより、長時間かけて1950年代特有の優美なボディカーブの曲面を再現することに成功しています。

 ネック周りでは、角張ったエッジを落としこむロールド・バインディング加工により、オールドのレスポールに特有な手に良く馴染む絶妙なグリップ感を実現しているのが肝です。バインディングのスクレイププロセス、フレットや指板のドレッシングにも見直しが行われていて、長時間のプレイでも非常にスムースでストレスを感じさせないフィーリングとなっています。

 また、2013年から導入されたハイドグルー(ニカワ)によるラミネイトはボディトップにも適用されるようになっています。塗装に関しても、ハンドスプレーのテクニック、ドライサンディング、ウエットサンディングの途中工程を含めた全てのプロセスを見直すことにより、更にオーセンティックな風合いになっていて、ボディ本来の鳴りを向上させ、フィニッシュの透明度を高めた仕上がりとなっています。

 そして、今回ギブソンカスタムが莫大な予算を投じたのがトゥルーヒストリック・パーツ。スイッチプレート、ジャック・プレート、ピックガード、エスカッション、ノブ、ピックアップカバーなど、細部までパーツのリファインが行われています。外観的な形状のみに留まらず、ABS樹脂のプライ数や、製造工程、エッジテーパー、研磨工程、メッキ層までヒストリカリー・アキュレイトな質感をリクリエイトしています。ホリーウッドのヘッドヴェニアもオリジナル同様に約0.3mm薄い突板へ変更され、各部に手作業のシェイピングステップを追加することにより、ヘッド外周など各部のエッジが更にリアルな雰囲気となっております。

 トゥルーヒストリック・シリーズの登場は、レスポールに対する私たちのイメージが大きく覆される契機となっています。音色面はもちろんですが、手に取っていただくと何もかもが従来のリイシューモデルとは大きく異なっているのが実感できます。オリジナルバーストへの飽くなき探究心のもと生まれた最新モデル。最後に、先日Gibson Brands Showroom TOKYOで行われたGibson CustomのThom Fowle(トム・ファール)氏によるデモ演奏動画をご覧ください。

https://youtu.be/H2WZ3cW5e6A

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。