Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.140

スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第20回

Gibson USA 1979年製 Les Paul Kalamazoo Tobacco Sunburst



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 プレーヤーの方にもコレクターの方にもおすすめできるコンディションの良い1979年製レスポール・カラマズーが入荷しましたのでご紹介しましょう。1980年に発売されたヘリテイジシリーズ・レスポール・スタンダード80の前身とも言える位置付けのモデルで、ジミー・ウォレスのオーダーモデルやレオズ・ヴィンテージなどと同様にヴィンテージ・リイシューの先駆けとして、そのブームの一端を担ったレスポールです。

 所謂オリジナルのレスポール・スタンダードですが、1961年にはSGシェイプにモデルチェンジ。1963年にはレス・ポール氏との契約終了にともないディスコンティニューモデルとなっています。その後、1960年代中盤のミュージックシーンでブルースロックの興隆があり、エリック・クラプトンやジミー・ペイジ、マイク・ブルームフィールド、ピーター・グリーン等々、数多くのギタージャイアントがレスポールモデルを愛用した影響もあり、ギブソンから当該モデルが正式に復刻されることとなったのは1968年頃のこと。しかし、当時復刻されたのは何故かバーストではなく、ゴールドトップのP-90を搭載した初期仕様のイメージを狙ったものだけでした。

 その後、そのP-90を搭載したレスポール・リイシューのキャビティ構造を流用したミニハムバッカー仕様で、レスポール・デラックスがリリースされることになり、そのデラックスバージョンには一部ハムバッカーを搭載したカスタム仕様こそ見られますが、ハムバッカー仕様の「スタンダード」が通常のラインナップとして製作されるのはようやく1975-1976年のこと、長い年数を要しました。

 当時のレスポールモデルで使用されていたボディ材は、1969年頃からマホガニーバックがラミネイト構造となっており通称パンケーキボディと呼ばれますが、トップ材のメイプルも3ピースが一般的なものでした。しかし、今回ご覧いただいているレスポール・カラマズーは当時1,500本限定で生産された試験的なモデルで、そのパンケーキ構造ではなく、1950年代風のマホガニーワンピースボディと2ピースメイプルトップをフィーチャーしていることが大きな特徴です。

 ヘッドストック形状こそラージヘッドのもので、1965年以降の基本仕様であった緩やかな14度角ヘッド。またネックのほうもヘッド部分にボリュートがついた3ピースのメイプルのスリムネックですが、刻印ナンバードPAFのダブルホワイツ・Tバッカー(オープンカバー)が搭載されているといのうは何とも心憎い演出です。ギブソンでは、1975年頃から従来のミシガン州カラマズーファクトリーに変わり、テネシー州ナッシュビルファクトリーの新工場稼動が始まっています。1985年頃までにかけて生産体制が随時シフトしていきますが、「レスポール・カラマズー」はその名前の通り、従来からの歴史あるカラマズーファクトリーで製作されていたということが大きなセールスポイントになっています。

 工場移転の過渡期には、そのシリアルナンバー6桁目から「0-4」ならカラマズー製、「5-9」ですとナッシュビル製と判別できます。こちらの「レスポール・カラマズー」ではサイドマーカーのドットサイズも旧工場で製作されたことによるひとつの特徴であり、また純正でスピードノブを採用しています。シャーラー製のクルーソンスタイル・キーストンチューナーを搭載したもの、同じくキーストンのグローバーチューナーを搭載したものが混在するようですが、いずれもブッシュ部分のワッシャーの大きさが際立つデザインです。

 ヴィンテージ・リイシューという点に着目すると、同様にフェンダーでも1980年代初頭に、通称「スミス・ストラト」にて四点止めジョイントが待望復刻されることとなりますが、こういったマーケットインの製品戦略、相互連関性はとても興味深いロマンを感じますね。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。