Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.138

スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第18回

Gibson Custom Collector's Choice #29 9-1165 aka Tamio Okuda 1959 Les Paul



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ギブソンカスタムが奥田民生氏の所有する1959年製レスポールを再現した最新モデルの出荷が開始されましたのでご案内しましょう。

 奥田氏が伝説のロックバンド「UNICORN(ユニコーン)」で鮮烈なデビューを飾ったのは1987年のこと。1993年にユニコーンが解散されるまでの数年間に多数のビッグセールスを記録し、まさにバンドブームの火付け役として一世を風靡しました。バンド解散後もプロデュース活動からソロワーク、様々なミュージシャンとのコラボレーションを通じて常にミュージックシーンの第一線で精力的な活動を続けており、2009年のユニコーン再結成を経て、今なお彼のインパクト、世代を越えたその凄まじい影響力は衰えを知りません。

 過去に製作されたシグネイチャーモデルですと、ギブソンから2008年に限定発売されたB7ビグスビー搭載の白いレスポールスペシャル「Gibson Custom Shop The INSPIRED BY Series Okuda Tamio Les Paul OT Special」が記憶に新しいでしょう。当時は製品発表と同時にお問い合わせが殺到して、ほぼ予約完売に近い状況だった印象があります。2014年10月にギブソン・モンタナから発売されたシグネイチャーモデルCF-100Eも通好みなチョイス。「ひとり股旅」の弾き語りでもプレイされていましたが、もともとギブソンで1951年頃から1958年頃にかけて製作されたエレアコの先駆け、スモールボディ/フローレンタイン・カッタウェイという変わりダネの一本をモチーフにしており当該モデルの知名度を飛躍的に高めた結果になりました。

 そして、このたび「まんをじして」発表されたのが、OT氏が所有する1959年製レスポールのクローン。「Collector's Choice Series」とは、ギブソンカスタムが現存する貴重なオールドギターを最新テクノロジーによるインペクションツールを使用して3Dプロファイリングしたデータを機軸に、ヴェテラン・クラフトマンの熟達したスキル/ノウハウによって精密にレプリカされたものです。

 シリーズの変遷を遡ると、その第一弾は2010年に発売されたものでピーター・グリーンやゲイリー・ムーアが所有していた個体の復刻であるCC#1 Melvyn Franks 1959 Les Paulでした。その後もトム・ショルツやエド・キング、ロニー・モントローズといったギターレジェンドの愛器や、果てはギブソンCEOヘンリー・ジャスキヴィッツ会長の所有する個体、その他著名なコレクターが保有する歴史的名器の数々がリリースされて好評を得てきました。本器はその第29段プロジェクト。日本人が所有しているギターがコレクターズ・チョイス・シリーズでクローンされるというのは、これまで前例のない快挙で、厳密に言うとアーティスト・シグネイチャーとは違ったラインナップなのですが、一方でシグネイチャー以上のプレミアム感があるかもしれません。月並みな言い回しではありますが、ファンの方はもちろん、そうでない方にも自信を持っておすすめできるギターです。

 彼が「ヒゲとボイン」発売の頃(1991年)から長年愛用している名器1959 Les Paul Standard、そのシリアルナンバーは「9-1165」。インタビュー記事によると当時約450万円ほどで購入したそうですが、今ではその何倍もの相場がついております。本企画のスタートは2011年3月で、本人所有機をギブソンカスタムの担当者が来日して、至極細部まで徹底的に個体を分析。同年12月に製作されたホワイトギター(プロトタイプのプロトタイプ)を元に、ボディやネックの形状等に関して奥田民生氏本人との綿密なディスカッションが行われたそうです。2013年10月に本人に手渡されたプロトタイプは、同年ツアーの中野サンプラザ公演などでも演奏されましたので、その頃からフォロワーの皆様より多数のお問い合わせをいただいておりました。

 その後、外観および音色面で更なる改良・リファインを施して実現されたのが今回の企画モデルとなります。生産上限300本のリミテッドモデルで、木材の特性も実器に近似したものを厳選しており、度重なる考察を経てリクリエイトされたもの。その品質の高さは改めて陳ずるのも野暮でしょう。ヒストリック・コレクション・シリーズとは異なり、標準的なカタログ仕様ではなく、あくまで一個体のクセを完全再現するというコンセプトのもと製作されており、出色の出来栄えです。

 今回は、新品でありながらもヴィンテージのバーストさながら非常に巧妙なダメージ加工が施されたAGEDフィニッシュと、軽微なエイジングのみでオールドギターの質感を再現したVOSフィニッシュの2モデルがラインナップされております。VOSフィニッシュは順次店頭展示を開始しておりますが、AGEDフィニッシュは製作工程上、明確な納期が定まっておりません。現時点では限定数完売まで若干数の空き枠がございますので、ご購入予約をいただければ入荷次第ご案内を差し上げますので、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。