Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.136

この一枚を聞け! [ DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP / AC/DC ]



 いままでたくさんのアルバムを紹介してきましたが、まだこのバンドを紹介してなかったことを恥ずかしく思います。(笑) 今回紹介するアルバムは世界的バンド、AC/DCが1976年に発売したメジャー・セカンドアルバム「DIRTY DEEDS DONE DIRT CHEAP(邦題:悪事と地獄)」です。

 このバンドの名前を知らないロック好きはいないと思いますが、AC/DCにも当然ですが下済み時代はありました。デビューはこのアルバムが出る3年前の1973年にマルコム・ヤング、アンガス・アングのヤング兄弟が中心に結成されました。76年のメジャーデビュー前には2枚のアルバムを母国オーストラリアで制作し、ワールドメジャー1作目はこの2枚のアルバムを再編成されたものであったのです。

 バンドの中心人物であるのはヤング兄弟であるが、もう一人AC/DCを語る上では必要不可欠な人がヴォーカルのボン・スコットです。少年時代には収監歴もあるワルであったが、音楽に救われ、メンバーになる前にはAC/DCのローディーをしていたのは有名な話です。独特な歌いまわしとその存在感は、動き回るアンガスとは対照的に、AC/DCにはなくてはならない存在になったのです。

 このアルバムのタイトル曲でもある”Dirty Deeds Done Dirt Cheap”はまさにAC/DCを象徴するようなグルーブで、現在でもライブでは大ウケの曲であります。個人的には5曲目に収録されている” Problem Child ”なども実にAC/DCっぽくてカッコイイと思います! アルバムを聴いていると解るのですがアンガスのギターの音は、今となっては歪んでる音ではないのです。しかし、ライブになるとその音は音量のデカさにより、AC/DCサウンドになっていくところが実にカッコイイではないですか。

 バンドはこのアルバムを発表後、多くのビックネームバンドと大会場でのツアーに出ることととなる。そのバンドにはリッチー・ブラックモア率いるレインボー、キッス、エアロスミス等がおり、ここで更にAC/DCの人気が高まって行くのです。70年代後期のAC/DCライブ映像は最近リマスター発売された「LET THERE BE ROCK」でその凄さが解ります。ドキュメンタリー映像も収録されてるんで実に面白いですね。

 バンドは更に躍進を続け1979年に名盤「HIGHWAY TO HELL」を発売し、その完全たる地位を獲得するのです。しかしその翌年1980年2月19日にヴォーカルのボン・スコットが死去。生前にはドラッグの乱用等があったことから、オーバードーズでの死去、自殺等あらゆる死因がささやかれたのです。この事で躍進力を失ったかのように思われたバンドですが、この年に新ヴォーカリストとして現在のヴォーカリストでもある、ブライアン・ジョンソンを加入させるのです。

 そのあとは皆さんもご存じのスターダム一直線なのであります。やはり歴史に残るバンドの条件としては”走り続けなければならない”というのは宿命なのでしょうか。多くのビックネーム・バンドはこのような経験を少なからずしているでしょう。

 12月11日に年末行事でもある日本のロックスター、E.YAZAWAのライブを見てきました。走り続けている姿は年齢をまったく感じさせず、そのパフォーマンスは完璧でありました。そして、AC/DCもまだまだ現役! 最近ではマルコム・ヤングの認知症による脱退やドラマーの不祥事等でバンドは大変なことになってます。しかし、2015年にはワールドツアーに出る決意を固めたそうです。これこそがロックなんですよね〜!

 また、先日ボンスコットの事を調べていたら母国オーストラリアには銅像が立っているそうです。悪ガキであったミュージシャンを母国のヒーローとして扱ってくれる。実にカッコいいナ〜! とにかくこの1枚を聞け!!
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