Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.133

スターキー星の「月刊 GUITAR TALKING」第13回

Gibson Japan Limited Run 2014 Les Paul Custom VOS Richlite Classic White



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ギブソンカスタムからヴィンテージスタイルのレスポールカスタムVOSが新登場しましたのでご紹介しましょう。

 本器のベースとなっているモデルは現在でもプライスリストにラインナップされているカスタム・コレクションのレスポールカスタムです。1950年代のオリジナルブラックビューティと異なり、マホガニーボディにメイプルトップがラミネイトされた再生産モデルに準じるスペックで、2011年から2012年にかけてエボニー材の供給難からリッチライト指板へと仕様変更が行われました。ヘッドストックに輝くスプリット・ダイヤモンドインレイや、マザー・オブ・パール(白蝶貝)によるブロックポジションマーカー、ゴールドハードウェア、マルチプライ・セルバインディングといった伝統的な外観のもと、通常ですとナッシュビルタイプのチューン・オー・マチックブリッジを搭載、ピックアップは490Rと498Tという組み合わせでモダンクラシック路線を行くモデルです。

 今回はそのモデルをモチーフにしながら、更にヴィンテージ色を強めた限定仕様となっております。1959レスポールなど現行のヒストリック・コレクションでおなじみですが、ゴムチューブを廃したオールドスタイルのトラスロッドを配しており、ハイドグルー(ニカワ)によるネックの接着を採用。ABR-1タイプのブリッジに、ピックアップもヴィンテージPAFのレプリカとして高い評価を得ているアルニコ3マグネット・カスタムバッカーをマウントしています。新品でありながらアンティーク調の風合いを再現したヴィンテージ・オリジナル・スペックで仕上げられており、至れり尽くせりのモデルと言えるでしょう。

 ギブソニアンの皆さんであれば、前述のリッチライト指板というのが人工樹脂であることは既にご存知だと思います。これはその名のとおり、1943年創業の老舗である「リッチライト社」が開発した高級素材でして、パルプ繊維を圧縮したものにフェノール樹脂を混ぜてカーボン着色したものです。古くより人工素材を使用するギター/ベースは多く製品化されてきましたが、ギブソンカスタムにおいても、リッチライトを採用するにあたっては幾度となく適合性のチェックが行われ、現在では合法的でかつ安定した供給を保ちながら、品質水準を高く保つための一つの新機軸となっています。

 ヴィンテージ・レプリカですので「人工樹脂」という響きは、どうしても抵抗がある方も多いと思いますが、店頭で実際にご覧になられたお客様でも「エボニーとあまり見た目の区別つかない、音色面でも違和感がない」という声をよく聞きますので是非一度先入観をなしにお試しいただければと思います。エボニー指板仕様のレスポールより、かなりお求め安い価格設定となっておりますし、メインテナンス面でも乾燥による割れを防ぐため定期的にオイルを入れる必要がなく、乾拭きだけで問題ありません。メーカーや代理店ではリフレットやヒーター修正などのテストも行わており実用上の問題がないことが確認されているそうです。

 エボニー材はファクトリーに入荷しても品質チェックをクリアするものはごく一部。販売価格で100万円を越えるようなカスタム・クリムゾン・シリーズのソリッド・アーチトップ・ジャズギターや一部の特殊なモデルを除き、ギブソン社でエボニー指板を採用をするのは困難になっています。中古市場でも流通が少なく価格が高騰していますし、IUCN(国際自然保護連合)によるレッドリストにも記載のある稀少種とされていますので、今後の状況がどうなるかはまだ読めません。別途リミテッドランのエボニー指板レスポールカスタムは、ジャパンディーラーが二年近く交渉を続けてきたもので、こちらのモデルよりかなり高値となりますが、近日中に少数入荷予定ですのでご購入の場合はお早めのご予約をおすすめします。

 ジャズマンにもハードロックギタリストにも不動の人気のLPC。メルマガのバックナンバー(https://www.ishibashi.co.jp/mm/08magazine.php?p=665&vol=128&utm_source=mail&utm_medium=140424)では3ピースマホガニーネック/パンケーキボディの1969年製オリジナルカスタムについて解説したことがありますので、まだご読まれていない方はこの機会に合わせてご覧ください。

 さぁ、ギターヘブンの扉をノッキンオン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてフェンダーのプロダクトスペシャリストに認定されている他、ギブソン・ファクトリーも定期的に訪問して選定買付け等を行っている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、アップトゥデイトな情報のご案内、そして一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。