Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.129

この一枚を聞け! [ MANIC EDEN / MANIC EDEN ]



 今回紹介するのは1993年に発売された、元ホワイトスネイクのギタリストでもあるエイドリアン・ヴァンデンバーグ率いるMANIC EDENのファーストアルバムです。

 エイドリアン・ヴァンデンバーグの経歴は結構古い。デビューは1982年でオランダで結成した自身のバンド、「VANDENBERG」である。デビュー前はシン・リジーや初期のホワイトスネイクのオーデションを受け、落ちまくっていたらしいが、自身のバンドでデビュー後はアメリカでもそこそこの人気が出て、とりわけ日本ではかなりの人気でホールクラスの会場ではSOLDするくらいの人気にはなっていた。

 一方、ホワイトスネイクは1987年にモンスターアルバム”Whitesnake 1987”(邦題サーペンスアルバス)を発売し、全米で大ヒットとなった。なお、このアルバムではジョン・サイクス(元シン・リジー)がギターを弾いていたが、アルバム発売時には全てのメンバーが解雇となり、PV撮影用に集められメンバーがギターにヴァンデンバーグ、そして元ディオのヴィヴィアン・キャンベル(ギター)、元オジー・オズボーン・バンドのトミー・アルドリッジ(ドラムス)、元クワイエット・ライオットのルディ・サーゾ(ベース)が加わり、このメンバーで新ホワイトスネイクをスタートすることになる。

 1989年にはヴィヴィアン・キャンベルが脱退、レコーディング準備を始めたがヴァンデンバーグは腕を負傷。その穴埋めとして新加入したのはナント、スティーヴ・ヴァイであった。バンドは新たなスタイルを築き、1990年にはドニントンで行われた”モンスターズ・オブ・ロック”のヘッドライナーになっている。この時の演奏は最近DVD化されたので、こちらも是非チェックしてもらいたい。

 バンドは上昇気流に乗っていたが、1990年にホワイトスネイクはあっけなく解散してしまうのだ。元々はヴォーカルのデイヴィッド・カヴァデールのバンドであるから彼がやらないと言えばやらないのである(笑)

 さてようやくMANIC EDENの話になるのだが、ホワイトスネイク解散後にリズム隊のルディー・サーゾ、トミー・アルドリッジとヴァンデンバーグが組んだバンドがこの「MANIC EDEN」である。ヴォーカルには日本では無名のロン・ヤングという者が加入。若干、パイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)に似ているのも面白い。

 バンドスタイルはスネイクとは全く違っており、アレンジやギターサウンドもホワイトスネイクのヴァンデンバーグ・サウンドとはかなり違う。ヴィンテージ・ロックが好きな方なら誰でも好きになれるスタイルだ。1曲目の”Can You Feel It”などはジミヘンっぽいギターアレンジで、車で大音響で聞くと、ついついアクセルを踏んでしまうような曲である。

 しかしである、このバンドはなんとアルバム1枚で自然消滅しているのだ。持続する精神がないのかは定かでないが、こんないいアルバムを作っておいて・・・、よくわからないです(笑)

 ヴァンデンバーグはその後、またホワイトスネイクでカヴァデールと活動を共にするが、現在では自身のバンド「VANDENBERG'S MOONKINGS」で活動中である。しかも、今年のLOUD PARK 2014で来日も控えているそうだ。はたして「VANDENBERG」時代の曲や「WHITESNAKE」の曲は演奏するのか? 定かではないが今後の活躍にぜひ期待をしたい。とにかくこの1枚を聞け!!
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