Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.119

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第28回

Fender USA Custom Shop 61 Stratocaster NOS Daphne Blue built by Paul Waller



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 私が昨年フェンダーカスタムショップのファクトリーを訪問した際にマスタービルダーのポール・ウォーラーにオーダーしたオンオフのギターが入荷しましたのでご紹介しましょう。

 The Jamのポール・ウェラー(Paul Weller)ではなく、綴りはポール・ウォーラー(Paul Waller)です。既に14歳の頃から自分でギターの製作をはじめていたそうですが、アリゾナ州フェニックスにあるギター製作学校「ロベルト・ベン・スクール・オブ・ルシアリー」でアコースティックギター製作を専攻し、2000年春に卒業。その後2003年にフェンダーに入社しました。長らくカスタムショップをリーダー格で牽引してきた元シニアマスタービルダーであるマーク・ケンドリックのアシスタント/愛弟子として多くの経験を積んでおり、他にもトッド・クラウスやユーリ・シスコフ・ステファン・スターンらトップビルダーに師事。2010年にマスタービルダーに昇格した今話題のスペシャリストです。

 ポール・ウォーラーは1979年の生まれですので、まだ今年で34歳という若さながら、近年Char氏のシグネチャーモデルのカリズマや、フリースピリッツ・マスタングのプロトタイプを手がけるミッションに抜擢されました。日本国内での知名度も急速に高まっており、その丹念な仕事っぷり、技術力の高さに各方面からの注目が集まっています。

 さて、今回のオーダーの際に私が抱いていたコンセプトはズバリ言ってしまうと「マスターグレード・シリーズ」の復刻です。

 マスターグレードとは、フェンダーカスタムショップの国内代理店の企画により1996-1999年頃にかけて製作され、現在で言うところのカスタムコレクション/チームビルトの最高峰ラインナップとしてリリースされました。当時の定価は40万円台でしたが、相応の本数が流通しましたが今となってはなかなかオーナーの方が手離さないようで中古市場に出ることも少ないですね。フェンダーフリークに根強い支持のあるラインナップで、Char氏をはじめ一流のプロギタリストにも愛用されているギターです。

 当時マスターグレードシリーズは、同じく1995年頃に代理店企画でスタートしたレトロスペクティブ・ギア・シリーズの系譜を継ぐモデルとして、実際に1956年頃からフェンダー社でピックアップの製作に携わっていたアビゲイル・イバラ (Abby)や、同様に当時からネック製作を担当していたハーバート・ガステラムらのヴェテラン勢を再招集して、当時の工法を出来る限り再現するというコンセプトのもと展開されました。ボディやネックははもちろんヘッドストックの形状や塗装工程、各種パーツのリファインが施され、現行のタイムマシーン・シリーズの先駆けとなり、歴史的な観点からもヴィンテージレプリカのクオリティ向上に大きな貢献を果たしています。

 1961年モデルをモチーフにした本器は、アルダーボディにスラブラミネイト(フラット貼り)のダーク・インディアンローズウッド指板ネックを採用。あいにくオリジナルのマスターグレードピックアップ開発に携わったアビゲイル・イバラ女史は既に現役を引退していますが、今回のオーダーに際しては、当時のデータに基づくピックアップをカスタムマウントしてもらえるように依頼しております。マスターグレードならではの、ヴィンテージテイストを基調にしつつも、どこかホットでブリリアントなトーンで、豊かなレゾナンスのサウンドが楽しめる一本に仕上がりました。

 こちらのストラトはちょうどオーダーのタイミングが良く、細かなスペシフィケイションを指定したオーダーながらも価格をギリギリまで抑えることに成功しました。さすがに生鳴りの時点から格の違いを感じさせてくれる逸品。非常にバランスが良く感度の良いソフィスティケイトされた音色が楽しめます。本器は新品時のマスターグレードをイメージしたダフネブルーのNOSフィニッシュですが、実は経年変化によりサーフグリーンのように色焼けしたクローゼットクラシック仕様もオーダーしております。気になる方は合わせてイシバシ楽器渋谷店・星までお問い合わせ下さいませ。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 渋谷店
TEL 03-3770-1484
shibuya@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店〜御茶ノ水本店を経て、現在は渋谷店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。