Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.117

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第26回

Fender Pawn Shop Series Super Sonic Dark Gunmetal Flake



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 池袋店勤務の頃に執筆を始めたこのコラムですが、その後、御茶ノ水本店へと異動となりちょうど二年間が経ちました。そして、このたび来月より渋谷店への異動が発表となりました。渋谷店はイシバシ楽器店の中でも随一の在庫本数を誇り、そのバラエティー豊かなラインナップは国内トップクラスです。心機一転、今後とも宜しくお願い致します。

 さて、今回は2013年ニューラインナップのフェンダー・ポーンショップシリーズ、その中でも一際目を惹くスーパーソニックを紹介しましょう。

 ポーンショップシリーズは2011年にフェンダージャパン・ブランドにてリリースされましたが、2012年よりフェンダーUSAのメキシコ工場(バハ・カリフォルニアのエンセナダファクトリー)に生産拠点が移りました。伝統と革新を織り交ぜたダイナミックなデザイン、コンポーネント/モディファイものを彷彿させるエキセントリックなモデルが多数ラインナップされています。PAWN SHOPとは直訳すると所謂「質屋」です。東京ですと、中古楽器を扱っている楽器店が多いのですが、地方だとやはりなかなか少なく…。自分も学生時代は楽器を扱っている質屋を回って、掘り出しモノを探していたなぁと懐かしく思います。十五年くらい前ですので、インターネットにホームページこそあっても今ほど在庫状況が遍く把握できる時代ではなかったですよね。

 ご覧頂いているスーパーソニックは、もともと1997年にスクワイヤ・ヴィスタ・シリーズにラインナップされていたモデルの一つです。フェンダーUSA企画デザインの国産モデル(一般にトーカイ製と言われています)で、故カート・コバーンの妻コートニー・ラブとのコラボレイションであるヴィーナス、ヴィーナスXIはビザールライクなユニークなルックスでしたので記憶している方も多いかもしれません。その他にジャグマスターや、ミュージックマスターベースなどが発売されていました。

 とりわけ人気の高いスーパーソニックは最高にグッドルッキングなギターですが、当時スクワイヤのプロダクトマネージャーであったジョー・カードゥッチJoe Carducciという人物がこのデザインを担当しています。カードゥッチは1973年にフェンダーに入社しており、現在ではグレッチのマーケティングディレクターを務めています。彼自身が相当のジミ・ヘンドリクスフリークだったらしく、レフティのジミヘンが右利き用のジャガーを改造して逆さに使用しているイメージからインスピレーションを得てこのモデルを考案したそうです。

 当時のスクワイヤバージョンの型番ですと、SS-55とSS-63。ベタ塗りのブラック/ホワイトフィニッシュであったSS-55に比較して、ブルースパークル/シルバースパークルのSS-63は価格設定がやや高く、定価はそれぞれ型番通り55,000円、63,000円でした。現在は非常に市場流通が少なく、その定価を上回る高値で取引されることも多いようですね。

 今回の復刻ではアップルレッドフレイク、サンファイアオレンジフレイク、ダークガンメタルフレイクの3色展開で、以前とカラーバリエーションも変更になっていますが、他には分かりやすい部分で、ピックアップのマウント方法が変わっています。オリジナルはフロントピックアップがボディに対して平行ですが今回はフロントピックアップもリアピックアップ同様、通常と逆方向にスラントされています。トーンコントロールを排除した2ボリュームのみのコントロール(フロントとリアが通常の反対)で音抜けの良さを重視している点は踏襲されていますね。スクワイヤバージョンはバスウッドボディにブラックボビンのドラッグスター・ピックアップでしたのでクリアーでワイドレンジな音色傾向がありましたが、こちらのフェンダーバージョンではアルダーボディにゼブラボビンのアトミックハムバッカー・ピックアップをセレクトしており、よりモダンでホットなサウンドに感じられます。

 トレモロ機構にはストラトキャスターと同様の6点支持シンクロナイズド・トレモロを採用しているのが男前です。リバースヘッドストックに関しても、まさにロックギターの象徴といった印象を受けますね。ジャガーやムスタング同様の24インチ・ショートスケールネックで、ボディもかなり小ぶりなデザインですので日本人の身長でも非常にスタイリッシュに映ります。こういったイレギュラーなモデルは、またいつディスコンになってもおかしくないので、ぜひ早めにゲットしておきたいですね。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。