Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.116

この一枚を聞け! [SAX-A-GO-GO / CANDY DULFER]



 今回紹介するのは女性サックス奏者の第一人者ともいえるキャンディ・ダルファーの1993年に発売された2ndアルバム、「SAX-A-GO-GO」です。

 やはり私自身、ギターを弾いていることからサックス奏者のアルバムはあまり聞区機会がないのだが、このキャンディ・ダルファーだけは別なんです。わたしがキャンディ・ダルファーをはじめて見たのは本人のライブでもなく、アルバムでもなく。あるライブビデオであったのです。

 1990年、ノードフ・ロビンズ・ミュージック・セラピーというチャリティー団体に賛同したアーティスト達が集結し、一同にライブを行ったイベントに私の大好きなバンド、ピンクフロイドが出演した。このライブの出演アーティストは超豪華! ピンクフロイドを筆頭にジェネシス、ポール・マッカートニー、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ダイアストレイツ、ロバート・プラントとあり得ないくらいビック・アーティスト揃い。しかも、ロバート・プラントの演奏には御大ジミー・ペイジが飛び入りし、ツェッペリンの曲を数曲演奏したのだ。こんな凄いフェスは今では開催できないよね〜!

 このライブの模様が「LIVE IN KNEBWORTH」として発売されていた。そして大好きなピンクフロイドの演奏が始まる。1曲目はモチロン、名曲”Shine On You Crazy Diamond”です。この曲の後半部には有名なサックス・ソロがあるのですが、いつもなら男性サックス奏者が吹くのですが、このときはナント女性サックス奏者が登場するのです。この奏者こそが若干21歳のキャンディ・ダルファーだったのです。

 この時代のキャンディはマドンナやプリンスといった大物アーティストのサポートでツアーに出ていました。その活躍からこのピンクフロイドのライブに参加した1990年にファーストアルバム「SAXUALITY」を発売する。その評判の高さから当然ではあるがビルボードのジャズアルバムチャートでいきなり4位を獲得することとなる。

 そしてこの作品。売れないわけがないし、そしてこの美貌ときたら日本でもアッと言う間に有名になりました。1曲目の”2 Funky”もカッコイイが白人ファンクバンド、アヴェレイジ・ホワイト・バンドの名曲”Pick Up The Pieces”やプリンスが書き下ろした曲”Sunday Afternoon”も捨てがたい。まさに捨て曲ナシのアルバムなんです。

 キャンディは現在43歳。今でもその美貌を保ったまま(失礼)、先日来日を果たした。しかも、キャンディが使用しているサックス、アムステルダムウインズの社長と招聘先のビルボード・ジャパンのはからいで、イシバシ楽器の管楽器ショップ「SHIBUYA WEST」にて来日公演真っ只中の4月14日に店内でトークショーを開いてくれた。当然であるが店内はありえないくらいのファンとお客様でごった返した事は言うまでもない。

 その演奏スタイルは今でも多くのサックス奏者に影響を与えている。そしてキャンディの初期のアルバムには、これからサックスを始める人にとっても素晴らしいヒントが隠されているアルバムであると思うのです。とにかくこの1枚を聞け!
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