Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.116

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第25回

Fender USA Custom Shop Ishibashi Original Team Built Custom 62 Jazzmaster NOS Black Matching Head



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 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 今回もカスタムショップファクトリーを訪問した際に現地スタッフとミーティングを行い、オーダーしたイシバシオリジナルの特注モデルを紹介しましょう。現在渋谷店に勤務しており、フェンダーカスタムショップ・プロダクトスペシャリストにも認定されているスタッフ・望月がオーダーしたチームビルトカスタムの1962年仕様ジャガーです。私の先輩にあたりますが、彼とはナッシュビルのギブソンファクトリーやコロナのフェンダーファクトリーへも一緒に出張に行ったことがあり、またギターセンターやサムアッシュ、グルーンギターズ、ノーマンズレアギター等々向こうの小売店視察を行うときにも多くのレクチャーを受けました。石橋楽器店の中でもヴィンテージに精通しているトップクラスの一人です。

 ジャズマスターに関しては2011年に代理店オーダーのジャパンリミテッド・シリーズが限定製作された経緯があります。しかし、ジャガーに関してはマスタービルトのワンオフ等々で時おり製作されることこそあるものの、やはりカスタムショップ製は絶対数が非常に少なく、チームビルトのお手頃価格で手に入るというのはまたとない好機です。

 そもそもジャガーは1958年に発表されたジャズマスターを越える最上位機種として1962年にリリースされました。ジャズマスターやジャズベース同様にボディがくびれたオフセットウェストデザインで格調高く高級感のある佇まい。レオ・フェンダーの片腕であったフォレスト・ホワイトが考案したと言われるプリセット・サーキット(ソロパートとリズムパートでボリューム/トーン/ピックアップをワンタッチで切り替えられる回路)が搭載されており、またピックアップのオンオフスイッチ、ローカットスイッチも金属プレートにマウントされていることによってフェンダーギターのラインナップの中でも異色の存在感を放っております。その精悍なルックスはプロ/アマチュア問わず多くのギタリストを虜にしてきました。

 ご存知の通り、ストラトキャスターやテレキャスター、ジャズマスターが25 1/2インチのロングスケールなのに対して、ジャガーの場合は一般的なムスタング同様24インチショートスケールの22フレット仕様ネック。ジャズマスター同様、既存のモデルのパーツを流用するのではなく、多くのパーツが新しいアイデアに基づきデザインされたギターです。

従来のシンクロナイズド・トレモロでは効きが過激すぎるという当時のディーラーやカスタマーの声に応える形で、どちらかと言うとビグスビーに雰囲気の近いマイルドなヴィブラート効果が楽しめるフローティング・トレモロが採用されました。パイプ状のアンカーにブリッジスタッドが差し込まれる形状になっており、スタッド先のとがったネジで接地点に遊びをもたせることにより、摩擦係数を減らしチューニングの精度を保っております。

ピックアップも特徴的な部分で、元々はジャズギタリストをターゲットにリリースされたジャズマスターと異なり、最初から当時のインストゥルメンタル/サーフミュージックで好まれたブライトな音色を志向してデザインされたそうです。ヨークと呼ばれる金属板による磁界の変化はパンチのある歯切れの良いサウンドに貢献している一つの要因になっています。

 1970年代中盤には一旦はディスコンとなったジャガーですが、2000年頃にはアメリカンヴィンテージ・シリーズとしてレギュラーファクトリーからリイシューモデルが製作されるようになりました。近年だとザ・スミスのジョニー・マーやニルヴァーナのカート・コバーンモデルのシグネチャーモデルが発表されたのが記憶に新しいですが、ジャンルの垣根を越えて色々なバンドでジャガーならではの主張の強い攻撃的なサウンドを聴くことができます。

 今回のイシバシオーダーでは、あえて定番のサンバーストはラインナップしませんでした。オリジナルでも比較的カスタムカラーのバリエーションが多く現存しているジャガーならでは、カスタムカラーコレクションと銘打って、フィエスタレッド、シーフォームグリーン、ブラック、シャーウッドグリーンメタリック、ペールソニックブルー、インカシルバーメタリック、バーガンディミストメタリック、ブロンドという8カラーのオーダーをしております。渋谷店では圧巻の全色展開、まさにフェンダーレインボウとでも呼びましょうか。他にも御茶ノ水本店、新宿店、池袋店、梅田店、福岡店、オンラインショップでも店頭展示予定となっています。

 クレイドットマーカー、ラウンドラミネイト・ローズウッドボード期の仕様を復刻しましたので、躍動感のあるダイナミクスがこれまた魅力的な部分です。指板Rやフレットワイヤーのサイズ、ピックアップやネックシェイプなど、いずれもヴィンテージスペックでありながら、オリジナルのオールドとはまた一味違います。現行カスタムショップならではの抜群のプレイアビリティと、汎用性の高い実戦的なサウンドを存分に体感していただければと思います。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。