Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.111

楽器流行通信第19回




Blackstar ID:SERIES


 あの伝説のアンプ・メーカー、マーシャル出身のエンジニアたちが立ち上げた英国のアンプ&エフェクター・ブランド、「Blackstar」から、満を持して登場したデジタル・アンプ「ID:シリーズ」。これまで、デジタル・モデリングアンプがさまざまなメーカーからリリースされて来ているが、真空管の挙動やクセといった、数値化できない部分の再現がイマイチだったり、あまたあるアンプ・モデリングの中から、なかなか自分好みのアンプ・サウンドを選ぶのが難しい、といったものが多かったのではないだろうか。真空管アンプの真のプロフェッショナル集団であるBlackstarの技術者たちは、有名どころのアンプに使われている真空管サウンドを徹底的に分析し、代表的なパワー管を手軽に切り替えて、カンタンに音作りが出来る「TVP」(True Valve Power)コントロールを開発した。このアンプを使いこなすキモはこの「TVP」にありそうだ。

 このID:シリーズ・アンプは、オーソドックスなツマミ群が並んだ、親しみのあるアンプらしいルックスだ。このアンプの前に座ったら、いつものようにゲインやボリュームといったツマミから設定していくのも良いが、やはり気になるTVPコントロール・ツマミを回してみたいものだ。古今東西のアンプを一通り触ったことのあるギタリストならば、TVPツマミの横に記された名前にピンとくるだろうが、そうでない方のために、今回動画内で使用したものだけではあるが説明しておこう。

 「EL84」はVOX AC30などで使われているパワー管だ。小音量でもドライブ感が得やすく、割りとソフトな歪みが得意。「EL34」は、マーシャルに代表されるブリティッシュ・サウンドの要になる真空管。重厚な暖か味のあるサウンドが特徴。「6L6」はフェンダーやメサ・ブギーなどの大出力アメリカン・アンプに使われ、ガツンとパンチのあるサウンドが気持ちいい。これらの特性を頭に入れて、TVPコントロールを回してみると、思わずニヤリとしてしまうギタリストも多いのではないだろうか。

 エフェクト機能も必要にして十分なものが搭載されている。一番左のボタンでモジュレーション、ディレイ、リバーブの3エフェクトが選択できる。TYPEツマミは1〜4のポジションがあるが、それぞれのエフェクトで4種のタイプが選べ、効き具合は同じツマミの位置によって調節できる。そして、左のボタンは一個を選択するだけではなく、複数同時にオンにすることが可能だ。オンにしたエフェクトのパラメーターを触りたい場合は、そのエフェクトのボタンをもう一度押せばアクティブになり、TYPEやLEVELで調整すればよい。

 こうして作成した音色は、128のユーザーパッチに保存し、付属のフットコントローラー・FS-10(ID:60TVP以上の機種に付属)で瞬時に呼び出すことができる。このあたりはデジタル・アンプなら備えていて当然の機能であろう。もちろん、フロントパネルのボタンでも保存/呼び出しは可能だ。

 動画内では紹介しきれなかった便利な機能にも触れておこう。

 デジタル・アンプといえばPCとの連携が使いこなす上で重要になってくる。アクセスしやすいフロントパネルにUSB端子を配置、PCにインストールした「Blackstar INSIDER」で実際にアンプのツマミを操作するように音色を作ることが出来る。それだけでなく、好きなギタリストそっくりに作ったアンプの音で、曲を鳴らしながら一緒に演奏したり、フレーズ・トレーナーでテンポを落としながらの練習なども可能。もちろんオーディオ・インターフェース機能も持っているので、このアンプ一台でレコーディングすることも出来る。リアンプ機能を使えば、ギター・トラックに録音した音を、さらに真空管を切り替えて違う歪みに変えたりといった高度なワザもカンタンに実現する。

 ID:シリーズ・アンプは、一台でなんでもできて、なおかつカンタン操作のデジタル・アンプを探している人にぴったりのアンプだ。用途や好みに合わせてさまざまなサイズが用意されているので、きっと気に入る一台が見つかることだろう。



ID SERIES
ID:15TVP
15 Watt Programmable Combo
ID:30TVP
30 Watt Programmable Combo
ID:60TVP
60 Watt Programmable Combo
ID:60TVP-H
60 Watt Programmable Head
ID:260TVP
2x60 Watt Programmable Combo
ID:100TVP
100 Watt Programmable Head

(この動画は2012年11月上旬に収録しました。動画公開時点でID:シリーズは発売前のため、入荷情報はイシバシ楽器WEBサイトでご確認ください。)

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ミサワマサヒロミサワマサヒロ・プロフィール
音楽学校メーザー・ハウスにて、矢堀孝一氏に師事。ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストのバンド部門にて優勝を果たす。その後、レコーディングやライブのサポートなどで活躍し、イシバシ・バンド・コンテストのイメージ・ソングの作曲&演奏も担当。さまざまなデモ演奏でも活躍するギタリスト。