みなさん、こんにちは。スターキー星です！

　今回は、先日の東京ギターショウ会場にて行われた選定会にて買付けを行ったモデルをご紹介しましょう。フェンダーUSAカスタムショップのマスタービルダー・ジェイソン・スミスが製作したその名も「ブロンコ・ソニック」というNAMM SHOW展示モデルです。

　こちらのギターを製作したジェイソン・スミスは、フェンダーカスタムショップの発足にも携わったダン・スミスの息子です。ビル・シュルツ同様ヤマハ出身のダン・スミスは1980年代初頭のフェンダー社再建の時期に、現行モデルのストラトキャスターをブラックパーツの70'sスペックから、プリCBSスタイルのスモールヘッド・4ボルトジョイント/エンドアジャスト仕様へと変更することを主導した人物として有名です。そのようなフェンダーR&Dレジェンドの二世であるジェイソンは、1995年にカスタムショップに着任して以来、様々な業務で鍛錬を積み重ねました（最初は梱包業務に従事していたそうです）。2007年に逝去してしまったレジェンダリービルダー、ジョン・イングリッシュに師事した経歴を持つ新進気鋭のマスタービルダーですが、ヴィンテージギターへの造詣も深く、その類まれなるセンスと確かなテクニックで、近年評価が急速に高まっております。石橋楽器店では彼がマスタービルダーに就任した2006年当初から多くのオーダーモデルを彼に依頼してきましたが、近年ジョン・イングリッシュの正統的な後継者としてTUBEの春畑道哉モデルを手がけたことで日本国内の知名度・人気も飛躍的に高まっていますね。

　本器は、ミュージックマスターやデュオソニック、ムスタング、ブロンコなどのスチューデント/ミドルクラスモデルのオールド人気が高まっているトレンドのなかで製作されたワンオフモデルです。通例こういったボディシェイプ/スケール面でイレギュラーな仕様のモデルをショップオーダーしようとすると、非常に高値になってしまうことが多いのですが、比較的お手頃なお値段で手に入るこちらのショウモデルはプレミアム感も高いですね。メイン使いの一本としてもセカンドギターとしてもおすすめのコレクションです。

　ブロンコソニック、なんと言っても一番最初に目を惹くのがこの個性的なフィニッシュですが、Mohave (Mojave) Sand Sparkle、と名付けられております。フェンダー社のコロナ工場が位置するカリフォルニア州からネバダ州、ユタ州、アリゾナ州にまたがるモハーヴェ砂漠にインスピレーションを受けたカラーで、一般的なデザートサンド・カラーに比較してゴールドの色味が強めなスパークル・フィニッシュが大変魅惑的です。アノダイズド・ピックガードも、Rootbeer Colored Anodized PGと名づけられており、アメリカでポピュラーな清涼飲料水「ルートビアー」を彷彿させる着色加工がされていて深みのある良い色合いです。ちなみにルートビアーは、漫画「ピーナッツ」に登場するスヌーピーの好物だそうですね。アンバー色のボリューム/トーンノブとの組み合わせがこれまた渋くて、非常に通好みな顔付きになっています。

　十分なシーズニング期間を経て選定された最上級2ピース・アルダーボディに貼りメイプル指板のコンビネーション。ネックはきれいな柾目（クォーターソウン）で木取りされていて、62ジャガーネックをモチーフにした細過ぎず太過ぎずの丁寧な仕上がりのグリップシェイプ、トルネードに搭載されていたスタイルの裏通しブリッジをマウントしています。指板は9.5インチRのオールドよりややフラットなカーブでフレットはダンロップの6105ナロージャンボフレットを採用、ネックはエリック・クラプトンモデルのようなWLSウレタンフィニッシュですので、夏場でも嫌なベタツキが少なくスムースな運指が可能です。ピックアップはセイモアダンカン・リップスティックSLS-1をマウントしていて独特な丸みのある心地よいサウンドキャラクターが楽しめます。24インチ・ショートスケールながらもチープにならず、絶妙な甘さとともにハリと深みのある音色で、ダイレクトなレスポンスが持ち味。「見た目の割に」と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、しっかりと各帯域のバランスが取れているサウンドで、実に使い勝手の良いおすすめのギターだと思います。

　コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!

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