Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.106

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第15回

Fender USA Custom Shop 2012 Custom Collection 61 Custom Telecaster Relic Ash Faded 3-Color Sunburst




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!
 今年も早いものであっという間に半分が過ぎてしまいましたね。来月末には渋谷で待望のバディ・ガイ来日公演があります。前回は直前に体調不良でライブ中止、チケット払い戻しという残念な結果でしたので、今年は今から非常に楽しみです。夏は熱いブルースに限りますね!

 今回はカスタムコレクション2012年限定のタイムマシン・シリーズでリリースされた61カスタム・テレキャスターを紹介しましょう。タイムマシーン・シリーズの概略については1月26日号にて53テレキャスター・ヘヴィレリックについてのコラムにてご説明しております。詳細はバックナンバーをご覧いただければと思いますが、現行のタイムマシンシリーズはほぼ受注生産に近い状態なうえに一年ごとにラインナップが刷新されますので見逃せないモデルです。

 フェンダーカスタムショップでカスタムテレキャスターが製作されること自体が非常に少ないのですが、今年ラインナップされているのはカスタムテレにも関わらず、アッシュ材を採用しているというところがミソになります。実際のオールドにもアッシュ材の個体は存在するようですが、私がこれまでに見てきたのはいずれもアルダーボディでした。そもそも現在はカスタムテリーの市場流通が極端に少ないというのもあるのですが、そういったレアスペックの復刻版、まさにドリームギターが手に入るのもカスタムショップならではの魅力のひとつです。

 1960年前後からというのはフェンダーギターのバリエーションモデルが増え始める時期で、テレキャスターでもペイズリー/ブルーフラワー柄のテレや、ジョージ・ハリスンでおなじみのオールローズウッド・テレキャスター、セミホロウ構造のシンラインモデルなどがリリースされました。オリジナルのカスタムテレキャスターは、1959年頃に発表され、その後1972年頃まで生産されていたモデルです。当時、レギュラーモデルのテレキャスターが基本的にアッシュ材を用いてブロンドフィニッシュが採用されていたのに対して、カスタムテレは主にアルダー材を用いてサンバーストフィニッシュが採用されており、ボディの両面にセルバインディングが施されていました。ピックガードもレギュラーモデルが1964年頃まで1プライのものを使用していたのに対して、カスタムでは発売当初から3プライのものが配されていたり、ヘッドストックのデカールもスパゲティロゴながら金文字であったりと細部でも高級感を演出する差別化が図られていたのが特徴的です。

 スチールギターの延長として生まれたテレキャスターですので、やはり今も昔もカントリーミュージックプレーヤーへの人気が高いのですが、カスタム・テレキャスターのややメロウな音色はまた違ったサウンドを志向したファンも増やす形になりました。ブラインドフェイスのエリック・クラプトンやポリスのアンディ・サマーズ、近年ではシェリル・クロウ、ジョン・フルシアンテなどに愛用されているのが有名でしょうか。現在の日本でも歌モノのサイドギターやギターボーカルに愛用者が多い印象が強いギターですね。バインディングボディのカスタムテレキャスターは1972年頃になると生産完了し、ハムバッカーをマウントしたモデルにモデルチェンジされ、ギブソンPAFをデザインしたセス・ラバーにより設計されたワイドレンジハムバッカーをマウントしたモデルに切り替わります。ハムバッキングピックアップになると、国内では「カスタムテレキャスター」と区別するために「テレキャスターカスタム」と呼ばれることが多いですね。

 今回ご覧いただいている2012年版のカスタム・テレキャスターは、現代のミュージックシーンに求められるスペックを採用しています。特にピックアップにはマスタービルダーがデザインに携わったTwisted Tele Pickupsをマウントしていますのでヴィンテージテイストとクリアーな音抜けの良さが共存しており、レンジ感の広さが魅力です。ネックは1960年初期の仕様を再現した比較的スリムなオーバルCシェイプ。またこれは近年のタイムマシーン・シリーズほぼ共通のスペックですが、指板のカーブはややフラットな9.5インチ・ラジアスで、適度な高さのあるダンロップ6105・ナロージャンボフレットを採用していますし、ピックアップ・セレクターはフロントピックアップとリアピックアップのミックストーンが出せるプレゼント・デイ・ワイヤリングです。ボディ材は、カスタムショップのヴェテラン職人によってハンドセレクトされたライトウエイトなアッシュが使用されており、指板もオールドのような貫禄のあるダークなインディアンローズウッドが選定されていて素晴らしいヴァイブレーションを感じます。カラーはブラックと、経年変化で赤みが褪色した状態を再現したフェイデッド・3カラー・サンバースト(通称ハニーバーストと言われます)がラインナップ。今回はサンバーストの画像を掲載しましたが、ブラックもガツンとくるルックスでおすすめですよ。

 さて、最後になりましたが、先週末はベルサール渋谷ガーデンにて東京ギターショウTokyo Guitar Show(TGS)が開催され大盛況でした。全国各地から著名なショップがブース出店して素晴らしいギターの数々が展示販売されていた他、超一流ミュージシャンのライブイベント、体験セミナーなどが盛りだくさん満喫できる国内最大級のフェアでした。イシバシ楽器御茶ノ水本店では、ギターショウ用に製作されたプレミアムなギターも買い付けておりますし、今回来日したマスタービルダーのデイル・ウィルソンが製作した渾身のギターもイチオシで複数展示しておりますので、ぜひこの機会に皆様のご来店お待ちしております。
 
 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。