Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.105

この一枚を聞け! [I GOT DEM OL' KOZMIC BLUES AGAIN MAMA! / JANIS JOPLIN]



 もっと早くに紹介しておかなければならないアルバムだったのですが、今回紹介するの60年代、最もロック史上に名前を残した女性シンガー、ジャニス・ジョプリンの「I GOT DEM OL' KOZMIC BLUES AGAIN MAMA! 」です。

 60年代の女性シンガーでここまでジャンキーで、公私共にロックしていたシンガーがいただろうか。そしてこれほどインパクトある声の持ち主は、後にも先にもジャニスのみなのではないだろうか。1943年生まれのジャニスは大学を中退し、20歳でサンフランシスコに降り立つ。すでにこの時、とてつもないジャンキー! こんなことは日本ではなかなか無いことですよね(笑)

 そして、1966年に Big Brother and the Holding Company のヴォーカリストして、バンドに入る。最初からソロアーティストのイメージではあるが、実はこのときジャニスはメインではない。しかし、あまりにも存在感があり、ほぼバンドの中心的存在となる。そして1968年に発売されるアルバム「CHEAP THRILLS」は歴史的名盤となるのである。その中に収録されている”Summertime”はスタンダードなナンバーであったが、ブルース調に上手くアレンジされていて、これぞジャニス節と言う曲に仕上がっている。

 翌69年、Big Brotherを脱退し、自身でKOZMIC BLUES BANDを結成。本作品のリリースとなるわけである。前バンドと大きく違うところはホーン・セクションも加え、バンドに厚みを持たせたところ。1曲目の"Try”のイントロ部のベース音を聞くだけでこのアルバムのグルーブ感がしっかりと伝わってくる。シャガれた声も一段と迫力を増し、ライブでは何を言っているの解らない部分も多々ある(笑)”KOZMIC BLUES”という曲のイントロ部のピアノもなんでここまで叙情的にできるのかと思うくらい完璧なのです。

 この年、ジャニスは歴史的フェスティバル、”WOODSTOCK”に出演する。ジミヘン、ザ・フーと肩を並べフェスの中心的人物になったのは言うまでもない。最近になってこのときの音源の完璧版がリリースされているので、それもぜひチェックしていただきたい。しかし、その上り調子のバンド状況と反対にジャニスのドラッグへの溺れ方は尋常ではなかった。しかもアルコールも全開です!

 そして1970年10月4日、ジャニスはロスのホテルで死亡しているのを発見される、案の定、オーバードースであった。この前後の年に多くの著名アーティストが死亡している。69年にはストーンズのブライアン・ジョーンズ、70年にジミヘン、翌71年にはドアーズのジム・モリソン。しかも、全て27歳に死亡しているのは偶然でないという都市伝説もあるそうである。ちなみにカート・コバーンも27歳で死亡している。

 いま、ジャニスが生きていれば69歳になっている。あの年齢で死んでしまったからレジェンドになったかは定かでないが、70歳前にしても”Try”をグルーヴ全開で歌っているジャニスも見てみたい気がします。とにかくこの1枚を聞け!!
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