Ishibashi Mail Magazine Vol.104
Ishibashi Mail Magazine Vol.104
 | 今回紹介するのはアン・ウィルソン、ナンシー・ウィルソン姉妹を中心に結成されたHEARTが77年に発売した、第2作目「LITTLE QUEEN」です。 HEARTの結成は1975年。世はハードロックがブームになってきており、数多くのスーパースター級のバンドがデビューしていた時期である。当然のことながら多くのバンドが消えて言ったが、このバンドの勢いは80年代にとてつもないパワーを持つことになるとはこの時点では誰も予測ができなかったのである。 バンドのスタイルはハードロックなのであるがアコースティックギターやキーボードの使い方が妙にプログレッシブしているのも特徴的であった。そして何よりもバンド全員がレッドツェッペリン・フリークということもあり、ところどころに聞いたことのあるようなフレーズも出てきていた。 このアルバムの1曲目に収録されている”Barracuda"は後に、ツェッペリンで言う”Rock 'N Roll"のようなバンドには無くてはならない代表曲に成長していく。そしてその重厚なリズムはどこかツェッペリンの”Achilles Last Stand”に似ていると感じるのは私だけではないはずです。 そしてバンドの中心人物はやはりウィルソン姉妹で、ヴォーカルのアンはありえないほどの音域をもつ声、妹のナンシーはこれまたギターがメチャクチャ上手い！ しかも、今で言う「美しすぎるギタリスト」なのである。この時期在籍していたもう一人のギタリスト、ロジャー・フィッシャーもかなりのイケメンでナンシーの恋人でもあったことで有名である。また、楽器に関してもHEARTはかなり先を走っていた。ナンシーはこの時代にようやく認知されてきたギター、”OVATION”のエレアコをステージで使用し、話題を集めた。それに対し男性ギタリストのロジャーもWネックを多用するなど、ギターキッズにはたまらない素材でもあったのだ。 当然のことながらこのアルバムで全米チャートのTOP10入りを果たすことになる。70年代にはこのほか2作ほどアルバムを発売する、興行成績もまずまずで、79年には初来日を果たした。それも単独公演ではなく、今で言う夏フェスである。当時は今のようなフェスティバル形式でライブが開催されることはほとんど無く、私も当時そのようなライブに参加することは海外アーティストでは初めてのことであった。場所は神奈川県江ノ島のヨットハーバー横の広大な空き地。海がそばにありとても気持ち良い雰囲気なのであるが、当日は風が強く、HEARTの演奏が風で波打って聞こえていたのがとても記憶に残っている。 80年代に入るとバンドは低迷期に入る。どのバンドにもよくあることだが、85年にビックヒットが飛び出し、全米No.1バンドに成長していくのである。（カッコイイな〜）そして、”What About Love?”、”Never”、'These Dreams”といった曲はたぶん誰でもどこかで聞いて事がある曲だろう。 HEARTはモチロン、今でも現役である。ウィルソン姉妹もだいぶ年をとったが、ナンシーは相変わらず美しく、アンはだいぶ巨大化（失礼）した。毎年のようにメンバーチェンジを繰り返しているバンドではあるが、この2人がいればHEARTなんです。また、来日お待ちしております。とにかくこの1枚を聞け!!  バックナンバー |