Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.104

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第13回

Fender USA Custom Shop 2012 Custom Deluxe Stratocaster Faded Honey Burst Rosewood




 みなさん、こんにちは。スターキー星です!

 ついにフェンダーカスタムショップ製のCharシグネチャーモデル第二段としてFree Spirits Mustangが発表されましたね。今年7月14日の発売が予定されていますが、マスタングに関しましては、フェンダー社から約30年ぶりに初のリイシューとなるだけあって大変話題を呼んでいます。先月末にフェンダー社のファクトリーを訪問した際に、プロトタイプをチェックしてきましたが、しっかり納得の仕上がりでした。ブリッジプレートやコントロールプレートの製作などはオリジナルマスタングのテンプレートを使用しているそうで、今回の復刻にかけるフェンダー社の熱い想いとロマンを感じます。既にお問い合わせを多数いただいておりまして、限定わずか200本となっておりますので、残念ながら店頭に並ぶことはレアケースです。ご購入をご希望される方はなるべくお早めにご予約下さいませ。 

 さて、今回は2012年最新仕様のカスタムデラックス・ストラトキャスターをご紹介しましょう。このモデルの礎になったのはカスタムクラシック・シリーズという人気機種。カスタムショップの中ではどちらかと言えばエントリークラスのラインナップとして分類されることが多かったモデルですが、ヴィンテージ/モダン系スペックの代表格として根強いファンが多いギターです。そのモデルの後継機種/グレードアップモデルとして、2009年のNAMMショーにて発表されたのがカスタムデラックス・シリーズです。

 このカスタム・デラックスシリーズ、いざ一本を選ぼうとしたときに困惑するのが、年式によって仕様のマイナーチェンジが行われていることです。同じ型番にも関わらず、塗装がニトロセルロースラッカー・フィニッシュであったり、ポリウレタン・フィニッシュであったりしますし、ピックアップも69ピックアップとテキサススペシャルを組み合わせたもの、マスターデザイン・ピックアップをマウントしたものがあり、ボディ材もアルダーボディや、アッシュボディ、フレイムメイプルトップのものなどが存在します。ネックグリップのシェイプも含め、その年ごとに異なるバリエーションスペックが展開されています。また、稀にマスタービルトで製作される場合もあり、そういったモデルも基本スペックから何かしらアレンジが施されている場合が多いのです。ここ数年のカスタムショップカタログをお持ちであれば、大枠での仕様変遷が把握できると思いますが、同じ年度内の入荷でも「あれ?いつの間にチューナーの仕様が変わったの?」「あれ?元に戻ったの?」ということもありました笑。フェンダー社の意欲的な姿勢の現れゆえのところではありますが、「???」となった際はお気軽にお問い合わせいただければと思います。

 そういった仕様変遷の中で、今回ご覧頂いている2012年アップデート仕様となるカスタムデラックス・ストラトキャスターは、厳選されたライトウエイトのアッシュボディバックにAAAキルトメイプルトップをラミネイトした超贅沢なマテリアルが特徴的です。しかもピックアップは、1950年代からフェンダー社に従事しているフェンダーレジェンドの一人アビゲイル・イバラによるハンドワウンド・ピックアップがマウントされているという拘り抜かれたスペックです。従来、アビーが巻いたハンドワウンド・ピックアップは、フェンダーカスタムショップの中でも最高峰のラインナップであるマスタービルトシリーズや、一部のチームビルトカスタム上位モデルにしか基本的には使用されていなかったので、これは絶対に見逃せないポイントです。

 それ以外の部分では、今日ではヴィンテージ/モダンスタイルの定番仕様となりましたが、プレイアビリティを向上させるための22フレット/9.5インチR指板/ミディアムジャンボフレット、なめらかなアーミングを可能にするための2点式トレモロを踏襲しています。カスタムデラックスはファースト/セカンドバージョンではダンロップの6105フレットが使用されていましたが、それはナロージャンンボと呼ばれ、現在のミディアムジャンボ表記のフレットワイヤーのほうがやや丸みを帯びた形状になっています。また、フェンダーは21フレットで十分という方も多いですが、たかが半音、されど半音。いざというときに22フレットがあると意外と便利な局面は多いんですよね。9.5インチR指板でミディアムジャンボフレットという組み合わせはスムーズなベンドとヴィブラートを可能にしてくれる他に、複弦でコードを弾いた時にも音量のバランスが崩れにくいというアドバンテージがあり、適度なアタック感・タッチレスポンスの忠実さも失われにくい仕様といえるでしょう。

 サウンドキャラクターに関しては、フェンダーならではのトラディショナルで甘くディープなトーン傾向ながらも、全体には鮮明な音像で各帯域のバランスがより整ったサウンドに仕上がっています。ピアノのような美しく響く倍音の成分と、レンジ感が広いのにハイファイになりすぎない、ジャンルを選ばない音色で使い勝手の良さが際立ちます。AAフレイムメイプルのネックシェイプは適度な厚みを持たせたラージCシェイプで、非常に丹念に仕上げられており、手のひらにぴったりと馴染む良好なグリップ感。バッキングからリードまでストレスなくプレイできますし、まさにこういったスタイルのストラトキャスターの最終形と呼べるような完成度の高さを誇っております。今日のフェンダー・カスタムショップのフラッグシップモデルとしてもふさわしい一本。お手頃な価格設定ですが、これだけ素晴らしいギター組み上げてくるあたり、フェンダーの底力、伝統と可能性を感じさせてくれます。

 最後に、先月フェンダーファクトリーを訪問した際に買付けを行ったワンオフモデルをいくつか画像掲載させていただきます。これらのスペックピースは5月中に御茶ノ水本店に入荷予定です。また、今回ご紹介しましたカスタムデラックス・ストラトキャスターのカタログ外スペシャルカラー(石橋楽器限定)もチームビルトカスタムでオーダー見積を依頼してきておりますのでお楽しみに。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!




<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。