Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.95

スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第4回

Fender Custom Shop MBS Michiya Haruhata Stratocaster III Trans Pink built by Jason Smith




 みなさんこんにちは、スターキー星です。

 熱すぎる夏!!女子サッカーなでしこジャパンの目ざましい大活躍!!超感動の結末で日本の底力を見せてくれましたね(私、すっかり川澄選手の虜になってしまいました…)。

 そんな中、実はフェンダーカスタムショップも今年は日本人アーティストがとにかく熱いのです。記念すべき10回目の東京ギターショウ2011にて配布された最新カタログには何とChar氏、高中正義氏、INORAN氏、ken氏ら、名だたるメンツが大々的に掲載。いよいよ、ここからの進展が楽しみになってまいりました。ギブソンの松本孝弘氏モデルや奥田民生氏モデルもそうですが、一昔前であれば、フェンダーやギブソンから日本人ギタリストのモデルが発売されるなんて考えられなかったことですから、あらためて素晴らしいニュースだと思います。

 さて、今回紹介させていただくのはフェンダーカスタムショップの日本人アーティストモデルの中でもとりわけ反響の大きい春畑道哉氏の最新シグネチャーモデルです。2002年にリリースされたファーストモデルであるゴールドアノダイズド・ピックガードのアッシュブロンドストラト、2005年にリリースされたセカンドモデルであるビル・ウォール(BWL)コラボレーションのブラックストラトに継ぐ第三弾として完全受注生産にて製作されたモデルです。

 今は亡きフェンダーレジェンドの一人、名工ジョン・イングリッシュが生前に製作していたプロトタイプを元にその愛弟子であるマスタービルダー、ジェイソン・スミスが製作したという、何とも情熱的でロマンがあふれる一本です。

 アッシュボディにフィギュアドメイプルをラミネイトしたボディは、ノンピックガードでHSHピックアップレイアウト、そしてオリジナルフロイドローズをマウントしています。ある意味トラディショナルな「フェンダーらしからぬ」デザインのストラトであり、それはまた一方で多くのプレイヤーが現代のフェンダーに望んできたスペックを体現した佇まいでもあります。

 ヘッドストックは、ジミ・ヘンドリクスへのリスペクトを感じるF-keyチューナー搭載のラージヘッド・リバース仕様。ピックアップはダイレクトマウントのディマジオAir Norton、FredとフェンダーTexas Specialという組み合わせがセレクトされています。ウォームでパワフルなトーン、タイトでブライトなサウンド、コシのあるグルーヴィなサウンドが共存しており、さらにコントロールはそれぞれ、マスターボリューム/ミドルピックアップのボリューム/マスタートーンと独特なワイヤリングになっております。トーンノブはプッシュ-プッシュスイッチを採用しており、セレクター位置を問わずフロントピックアップをオンにできる配線。結果的にプレイヤーの手元でのサウンドメイキングの幅を大きく広げており、春畑氏の縦横無尽なプレイスタイルにもフレキシブルに適合しています。

 プレイアビリティに関わる部分では、ネックグリップは若干肉厚なミディアムシェイプ、フレットは22フレットのダンロップ6105ナロージャンボ、指板はややフラットな9.5インチRという定番のヴィンテージ/モダンスタイルのスペックです。サウンドも、もちろん非の打ちどころがありません。マスタービルトならではの最上グレードのマテリアルを使用して丹念に組み上げられており、これは春畑氏自身の言葉ですが「エディ・ヴァンヘイレンを彷彿させるような太くて伸びのあるダイレクトなサウンド」が満喫できるストラトといえるでしょう。

 こちらのギターを手がけたジェイソン・スミスは、80年代前半にR&D部門でフェンダー社の再建に多大な功績を果たしたダン・スミスの息子です。ダン・スミスが開発に携わった通称「スミス・ストラト」といえば、いわゆるヴィンテージリイシューの走りとなったスモールヘッド・4点止めジョイント構造の復刻モデルとして有名です。幼い頃からフェンダー社の伝統に慣れ親しんでいるジェイソン・スミスには、フェンダーのDNAが息づいており、その類まれなるセンスと確かなテクニックは近年評価が急速に高まっています。これは間違いない一本、やはり暑い夏はフェンダーギターで決まりです。

 先行リリースされたチームビルトのトランスブルーフィニッシュは既に市場でほぼ完売。老若男女を問わず根強いファンやコレクターが多い春畑氏のモデルですので、ファーストモデルやセカンドモデルは、昨今、中古でもなかなか流通する機会がありません。迷っている時間はないかもしれません…。

 ちなみに、石橋楽器御茶ノ水本店では春畑氏本人の仕様をイメージして、ボディに木部加工を行わずダミーネジを使用するピックガードの製作も承っておりますので、納期お値段など、ご興味ご関心のあるかたは別途お気軽にお問い合わせくださいませ。

 コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!





<お問い合わせ>


石橋楽器 御茶ノ水本店
TEL 03-3233-1484
ochanomizu@ishibashi.co.jp

<スターキー星:プロフィール>
 プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、御茶ノ水本店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。
 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。