スターキー星のフェンダリアン 〜Talking Of Fender〜 第1回
Fender Custom Shop MBS 59 Stratocaster Relic Gold Sparkle built by Greg Fessler
みなさんはじめまして。スターキー星です!こちらのコラムでは毎月、イシバシ楽器池袋店で取り扱っている数多くのギターの中から、「フェンダー好きならこれだけはおさえておきたい」というマスターピースを紹介していきたいと思います。
今年のフェンダーはとにかく熱い!! 先日、日本を牽引するトップギタリストであるChar氏や、LUNA SEAのINORAN氏、L’Arc-en-Cielのken氏とカスタムショップのエンドースメント契約が発表されましたが、その他にも色々な噂がチラホラと…。最新モデルの情報や、何かしら「気になる!!」がありましたらお気軽にお尋ねください。
さて、記念すべき第一回の「フェンダリアン」で紹介するギターは「池袋店のカスタムショップの中で一番おすすめは何ですか?」と聞かれたときに迷わずご案内している一本です。
ご覧いただいているのは、フェンダー社を代表する敏腕マスタービルダーのグレッグ・フェスラー氏が製作した1959年仕様の”ゴールドスパークル・ストラトキャスター”。私が昨年フェンダーUSAのカリフォルニア・コロナ工場を訪問した際に、他社ディーラーとの抽選会に勝ち抜いて買い付けた”スペックピース”(ワンオフもの)です。
もはや説明は不要かもしれませんが、ソリッド・エレキギター史において最も数多くコピーされたワールド・スタンダードモデルであるストラトキャスター。かつてフェンダー社の副社長を勤めていたフォレスト・ホワイト氏の著書によると、鬼才レオ・フェンダーがテレキャスターのアップデイトバージョンとして本格的にストラトキャスターの開発に着手したのは1951年頃であったと言われています。その後、フレディ・タヴァレス、ビル・カーソン、ジョージ・フーラトンをはじめとするフェンダーレジェンドの弛まぬ努力の結晶として1954年に製品化されたモデルです。
ボルトオンジョイントネック、ストリングスリテイナーを配した平行ヘッドデザイン、演奏者の体にフィットするコンタード・ダブルカッタウェイボディ、3基のピックガードマウント・アジャスタブルピックアップ、独立したブリッジサドル、舟形のアウトプットジャック・・・ そういったトータルデザインは非常に画期的なものであり、基本設計は約60年の年月が経った今日でもあらゆるエレクトリックギターに引き継がれております。
そのストラトキャスター、年式によって様々なスペックのマイナーチェンジが行われ、1959年後半にはネックにローズウッド材をフラットにラミネイトした指板(スラブボード)が採用されることになります。レオ・フェンダー自身はメイプル・ワンピースネックの美しい見た目を好んでいたとも言われますが、1958年のジャズマスター発表を期に、より高いセールスを実現するため、ギブソン・ユーザーやジャズミュージシャンのニーズをも見込んで、トラディショナルなスタイルが志向されたのです。(マーケットサイドとしては剛性の確保や、汚れが目立たないという利点もありました。)
そこで当時、主に使用されていたローズウッド材である”ブラジリアン・ローズウッド”(ハカランダ)。その頃は家具や、線路の枕木などにも使用されていた比較的ポピュラーな材料だったそうですが、1960年代後半になるとワシントン条約(CITES)が指定するところの絶滅危惧種として輸出入規制が行われるようになります。昨今でも、年々規制が厳しくなっておりますが、今回ご紹介しているギターには、何と特別にその”ハカランダ”の使用が許可されています。それが最大の肝です! その美しい木理と硬質で抜けの良い、なおかつ深みと艶のあるサウンドというのはやはり多くのプレイヤーにアピールする部分が大きいでしょう。
ハカランダ指板の特長を最大限に発揮するために、本器のボディマテリアルは極上のものが選定されております。マスタービルトだからこそなしえる、十分なシーズニングが施されたライトウエイトの”アルダー2ピースボディ”(センターシーム)に、追柾の”ミディアムCシェイプネック”をコンビネーション。また、グレッグ・フェスラー氏自身が様々なテストを行った末に「スパークルフィニッシュに最適」と結論づけた「69ピックアップ・Fat 50’sピックアップ・テキサススペシャル」というPUレイアウトが踏襲されており、非常にバランスが良く懐の広いサウンドバリエーションを誇ります。59年スタイルですので、ノーパテントナンバーのヘッドストックデカール、過渡期の8点留めワンプライピックガード仕様というのも通好みで渋いチョイスです。
フレットワイヤーのサイズや指板Rはヴィンテージスタイルを復刻しており、一度手にしたら、思わず四六時中弾きつづけてしまうような中毒性のある完成度の高いストラトに仕上がっています。しっかりとシャープな芯の堅さがあり、ふくよかで、甘く、ブライト。味わい深いヴィンテージテイストのなかに絶妙なバイト感があります。ゴールドスパークルというと派手に聞こえますが、照明の当たり方によって表情が変わるなかなか渋い色合い、まさに一生モノのストラトに間違いないでしょう。
…ちなみに余談ではありますが、グレッグ・フェスラー氏といえば日本でも非常に人気の高いビルダー! その所以のひとつに名手、ロベン・フォードの専属ビルダーであることが挙げられます。今月上旬にカスタムショップを訪問したときには、ロベン・フォードモデル(型番はエスプリに変更になっています)のオーダーも依頼してきております。ほとんど製作されることのないレアモデルですので、気になる方はぜひお早めにお問い合わせください。
コレだけおさえておけば、今日から貴方もフェンダリアン!!
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<お問い合わせ> 石橋楽器 池袋店 TEL 03-3980-1484 ikebukuro@ishibashi.co.jp
<スターキー星:プロフィール> プロフェッサー岸本の愛弟子であるデューク工藤に師事、池袋店にてインポートギターを担当している。特にフェンダー・ギターへの造詣が深く、日本国内最高レベルのノウハウを持ったスタッフとしてプロダクトスペシャリストに認定されている。彼自身のフェイバリットミュージックはブルースやブルースロックが中心で主に60〜70年代ロックを愛聴。 皆様がますます充実したミュージックライフを送れるよう、一生愛用できるギター捜しを親切丁寧にお手伝いたします。
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