Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.71

American Sound History [Martin O-15、O-17]



 マーチンギターのOサイズモデルはマーチン社の記録によると1984年から存在しマーチンのモデルの中でも歴史あるモデルです。そのモデルの中でもマホガニー材をトップ材にまで使用したマホガニーボディのO-15,O-17をご紹介いたします。

 まずはO-15モデル1940年製です。1935に初めて生産され、始めはメイプル材かバーチ材が使用されたものが存在するようです。1940年より本格的に生産されるようになり今回のモデルは初期物になります。生産年数は1961年まで製作されO-17の廉価バージョン的な存在でした。

 仕様はマホガニーボディ&ネックで指板はエボニーかと見間違えるほど濃く詰まったハカランダ材です。O-17との違いは指板上のドットインレイが7,12フレットとダブルではなくシングルドットであるのが見分けやすい部分です。ネックブロックにはO-15とスタンプされていますのでここでも確認できます。

 ボディー内のブレーシングは1940年製なので1944年までの”スキャロップ・ブレーシング”です。”スキャロップ・ブレーシング”は細く、修理で交換されてしまうケースがありますが、このギターはオリジナルの状態を保っています。

 サウンドはスキャロップ・ブレーシング効果でしょうか、トップ材の低音域部分がとても豊かでフィンガーピッキングで弾くと、小振りなボディならではの繊細な高域とトップ材の振動が共振し極上のピッキング・トーンを生みます。目を惹くのはサウンドだけではありません。なんとヘッドの表面がタートイズ・シェルのヘッド天神仕様になっており非常にレアなスタイルになっています。ペグは留めブッシュがないタイプでヘッド表面の印象はとてもスッキリしてカッコイイです。

 次は0-17モデル1946年製です。材の仕様はO-15と同じですが、ブレーシングは戦後モデルなのでやや太めです。その影響か、戦前ものに比べると少し太い音が出ます。

ペグは60年代グローバーに交換、ボディサイドにエンドピン・ジャック後付け、ジャック穴埋め修理跡有りですがその分格安で、ビンテージトーンを楽しめます。

 O-17は1906年に登場した古いモデルで、ファースト・バージョンはスプルーストップでしたが1929年からのセカンド・バージョンからはオールマホガニー材になり、1932年まではピックガード無しでした。生産時期は1929-1948年、1966-1968年までで1949-1961年の間はO-15モデルの方だけ生産されていました。その後1966年に黒ピックガードで復活しますが1968まで僅か7本しか生産されずそのまま生産終了になり、その後Oシリーズで生産され続けて行くのはO-16NY,O-18のモデルだけでした。
 
 良質なマホガニー材の入手が難しい現在、贅沢にマホガニー材を使用したマーチンギターを弾くと純粋なサウンドに感動することでしょう。マホガニー材は本当に素晴らしいですね。まさにオ〜アメリカン!

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石橋楽器 池袋店
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<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し、渋谷店での6年間に数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。ただいま池袋店に勤務。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代のロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店お待ちしております。


O-15 1940年製









O-17 1946年製