Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.59

American Sound History [Gibson J-200 Natural 1969年製]



 今回はギブソンらしい豪華な装飾と大きさを誇るJ-200をご紹介いたします。

 発表されたのは1937年で最初はSuper Jumbo(スーパージャンボ)の名前でした。大きさは16と7/8インチでしたが1939年には17インチワイドの大きさになり名前も「Super Jumbo 200」と変更になりました。価格は当時としては高額な200ドルで、ボディは当時のアーチトップギターのL-5からのサイズ17インチを流用し良質なスプルーストップを使用し、サイドバックにはハカランダ材を使用していました。スケールはL-5と同じく25.5インチで大きなボディを鳴らすのには充分なテンションで想像しただけでも良い音がしそうです。

 ボディの中の構造は最初、”ダブルXブレーシング”でしたが、1942年には”シングルXブレーシング”に変更になります。しかしこの頃より戦争の影響を受け、一時製造が中止になり、戦後1947年に再生産されるまでの本数は約100本ほどといわれております。

 1947年に再生産されてからの仕様変更は、戦前ボディのサイドバックにローズウッドを使用していましたが、現在のJ-200のスタイルであるメイプル材を使用するようになります。モデル名はカタログ上ではJ-200でしたがボディ内のラベルは”SJ-200”と50年代初期まで貼られていました。ナチュラルフィニッシュは1948年よりオプションとなり今回のモデルのようにレアカラーとなります。

 J-200はなんと言っても装飾が豪華なのが特徴で、大きなブリッジで初期のものは”ムスタッシュ(口ひげ)”と呼ばれるブリッジの両サイドがくり抜かれたものでした。その後はインレイが両サイドに施され、60年代に入りますとエレキにも使用している”Tune-O-matic”ブリッジが使用され、このスタイルは時々限定のリイシューモデルでも登場します。今回のJ-200はこの”Tune-O-matic”タイプではなく1969年からの高さ調整可能な”アジャスタブルブリッジ”で、面白いのはこの頃にしか見られないボディトップをミュートするバーがボディ内トップに組み込まれているところです。

 ピックガードは年代によりデザインが異なりますが、花のデザインで初期は外周にループが入り彫刻されており、69年の今回のモデルは花の位置はかわりかなりシンプルな感じになっています。現在のモデルのようなプリントタイプよりは雰囲気があるように思います。しかし現在でも古い鋳型は残っており、たまに使用し「レアモデル」として復刻しているそうです。
 
 今年の3月に私、デュークは現在アメリカモンタナ州にあるギブソンアコースティック工場に行ってきましたが、ほとんどが手作りで現在も人気が衰えず世界中から愛されるギブソンギターを作る職人に会ってきました。この職人感覚が長い歴史を支える力だと実感しました。工場見学と研修後にギブソンアコースティックモンタナ工場で試験を受け、”ギブソンアコースティック・スペシャリスト”として認定され認定書を受け取りました。今後も良いギターを紹介していきたいと思います。オ〜アメリカン!

<お問い合わせ>
石橋楽器 池袋店
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ikebukuro@ishibashi.co.jp





<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事し、渋谷店での6年間に数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
ただいま池袋店に勤務。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。