Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.52

この一枚を聞け! [ABOUT FACE / DAVID GILMOUR]



 言わずと知れたピンクフロイドのギターリスト、デイヴィッド・ギルモアが84年に発売した2作目のソロアルバム「ABOUT FACE」を紹介しよう。前年の83年にピンクフロイドは「THE FINAL CUT」を発売したが、ほぼバンドは分裂状態であった。アルバムの内容もスポークスマンであるロジャー・ウォータースのソロアルバム的要素が強く賛否両論を呼んだアルバムでもあった。

 そんな活動に嫌気をさした時期に作成されたこのソロアルバムは、非常に多種に渡った音楽性が盛り込まれている。ポップス、R&B、オーケストレーション、そして泣きのギターは当然健在である。また、参加しているアーティストも半端に抜きである。

 ドラマーには92年に他界してしまったTOTOのジェフ・ポーカロが全面バックアップしており、腕振りブンブン男でもあるTHE WHOのピート・タウンゼントがソングライターとして参加、ベースには年末にTHE WHOのベーシストとして来日するピノ・バナーディノも参加している。オルガンにはブランド・フェイスのスティーブ・ウィンウッド、パーカッションにはフロイド時代にも参加していたロイ・クーパーの名があげられている。しかし、良くわからないのがシンセサイザーには何故かパープルのジョン・ロードの名が・・・。オルガン弾かせたら完ぺきだがシンセは?である。そして、コーラスには後に再始動フロイドでもコーラスをする事になるサム・ブラウンも参加している。

 そんな凄いメンツによって作成されたアルバムのプロデューサーはボブ・エリズン。その数年後、再始動ピンクフロイドの1作目「A Momentary Lapse Of Reason」でもプロデュースする事になることから、このアルバムはそのテスト版だとも言われた事があった。しかし、サウンド的にはギルモア一色であるが、フロイドの曲調を感じさせないそのセンスには正に脱帽である。特に4曲目に収録されている”Blue Light”などは今までフロイド時代にはありえなかったパターンである。

 74年にギルモアはソロアルバムを発売しているが、このときはフロイド自体もアルバム「ANIMALS」を発売したばかりで、ソロアルバムにかける意気込みが私の中ではあまり感じられなかったのだ。その点からもこのアルバムが更に完成度を感じさせる。

 2005年にはLIVE8にてピンクフロイドを単発で再結成させシーンを賑やかしたが、デイブはソロ活動に専念。 そして06年に22年ぶりのソロアルバム、「On An Island」を発売し、再びソロ活動を活発化した。しかし、この時のインタビューで”フロイドの再結成はない”と断言している。残念な事ではあるが、自身のライブでフロイドの曲をたくさん演奏しているからその辺は良しとしよう。

 そして今年9月遂に最新ライブアルバム「Live In Gdansk 」が発売される。音源だけではなく映像も同時発売らしい。そして何よりもすごいのはフェンダー社よりデイヴィッド・ギルモア・シグネチャー・ストラト”Black Strat”も同時発売される。しかも、カスタムショップのように高額ではなく、サラリーマン・ギターリストにも問題なく買える価格での発売らしい。このギターで”Comfortably Numb”のソロを弾いたら気持ちいいだろうな〜 マジで欲しいッス!とにかくこの1枚を聞け!