Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.48

American Sound History [GIBSON ES-355TD/SV Cherry 1963年製]

 1958年に発売されたES-335のバリエーション・モデルとして1959年に発売された最上位機種ES-355。

 オプションであるフロント/リア・ピックアップのステレオ・アウトプット、チョークコイルとキャパシターを組み合わせた”バリトーン・スイッチ”を搭載、エボニー指板、マザーオブパール・ブロックインレイ、7PLYボディ・バインディング、5PLYヘッドストック・バインディング、マエストロ・ヴァイブローラ仕様の最上位機種に相応しいスペックとなっております。

 ”バリトーンシステム”のチョークコイルはセンターブロックをリアピックアップキャビティの下にコイルが入るスペース加工がされボディ内に収めています。この構造は335とボディ材が兼用できるように”バリトーンシステム”を搭載しなくても良い335にもセンターブロックにスペースがあるモデルが混在します。
 ”バリトーンスイッチ”は6ポジションロータリースイッチになっており合計18種類のトーンが作れるようになっています。配線はステレオ配線でYケーブルを使用しステレオ効果で使用します。音色は6番が一番ホットなサウンドで番号が減ると音はシャープになっていきます。

 外枠全体に巻かれたバインディングは335,345と違いヘッド枠にも巻かれヘッド自体の大きさも一回り大きくなり、ペグのツマミもプラスティックではなくメタルタイプでヘッドの重さが芯のあるサウンドを生みエボニー指板により立ち上がりが早く輪郭が厚い音色も355の特徴です。

 ヘッドの表面にはレスポールカスタム同様に上位機種の象徴、”スプリット・ダイヤモンド・インレイ”が施され、ヘッド裏は黒くに塗られたウイドーズピークでJ-200等でもこの時代に見られる素晴らしい仕様です。
ビブラートユニットは当初ビグスビーが塔載されていましたが、1960年には”サイドウェイ・バイブローラー”に、1962年に今回の1963年製のように”デラックス・バイブローラー”になりました。しかしビグスビーも60年代はオプションで選択可能でしたので両者存在します。
 355の生産数は335,345に比べ少なく状態の良いものは貴重で今回の355も綺麗にチェリーが残りとても鮮やかでオススメです。
 
 BBキング、フレディ・キング、オーティス・ラッシュ、チャック・ベリー、彼らに影響されたキース・リチャーズ、ロベンフォード等、エレクトリック・ブルース、ロックンロール系ギタリストに愛用されてきたES-355。

 エボニー指板による張りのある音色、ヴィブラートユニットによるストップテイルピースとは違う独特な響きが彼らを虜にした理由となります。そして何よりもこのゴージャスなルックスに惹かれるのは発売から50年近く経った今でも、多くのギタリストから愛用されていることから証明されています。オ〜アメリカン!

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<デューク工藤:プロフィール>
プロフェッサー岸本に師事しただいま渋谷店にて勤務中。
数々のリジェンダリーを師匠と共に経験。
彼自身のフェイバリットミュージックは60年代から70年代の
ロック、ブルースとサウンド面でもヴィンテージサウンドに精通。
宝物探しのお手伝いを親切丁寧にいたしますので心より御来店
お待ちしております。